×

【セックスについてどう伝える?】「every.」藤井貴彦アナ&恋バナ収集ユニット「桃山商事」清田隆之代表に聞く

2023年3月11日 20:00
【セックスについてどう伝える?】「every.」藤井貴彦アナ&恋バナ収集ユニット「桃山商事」清田隆之代表に聞く
パートナー同士で「セックスにおける不安」が生まれる原因は?人間関係が深まる「YESの伝え方」は?日本テレビでは、3月8日の国際女性デーにあわせ、医師監修のもと16歳以上を対象に「セックスにおけるコミュニケーションに関する調査」を実施。その結果について、「news every.」キャスターの藤井貴彦アナウンサーと、恋バナ収集ユニット「桃山商事」の清田隆之さんに話を聞きました。

(調査結果はこちらのリンクから)
https://news.ntv.co.jp/category/society/5ea4bd99c3484c788782ef7b7d0442c6

■セックスの悩み…パートナーに「伝えられないこと」は?

セックスは深いコミュニケーションの機会である一方、すれ違いが生まれやすい場面でもあります。日本テレビが実施した調査では、セックスにおいて どのような悩みがパートナー同士の“わだかまり”になっているのかも調べてみました。

「セックスにおいてパートナーに伝えられない不安や嫌なことはありますか?」。
この質問では「パートナーに伝えられない不安や嫌なことはない」以外の選択肢は、複数選択を可能としています。結果は、該当する人が多い順で

1位「パートナーに伝えられない不安や嫌なことはない」36.5%
2位「必ずしもオーガズムに至らないこと」22.01%
3位「楽しくないときがあること」21.5%

と、なりました。

■若い世代はセックスで悩みがち…みんなの知識がばらばらだから?

さらに、「パートナーに伝えられない不安や嫌なことはない」と答えた割合を年代別で比べてみると、50代では50.28%と5割を超えましたが、年代が下がるにつれて減少し、10代では21.18%と最も低くなりました。

この結果について、恋バナ収集ユニットの代表として1200人以上の恋愛相談を受けてきた清田隆之さんに話を聞きました。

清田さん:
例えば性教育とかで、科学的な知識、想定されるリスク、それに対する予防策とかについて、みんな同じ知識があれば、その土台の上でお互いが「どう関係を結びましょう?」みたいな話し合いもできるかもしれません。
ですがそうではないので、「相手はどのぐらい知っているんだろう?」「どのぐらい意識があるんだろう?」「こういうことを切り出したら不機嫌にならないだろうか?」「拒絶されたと思って傷ついたりしないだろうか?」と、いろんなことを気にすると思うんです。そういうコミュニケーションのハードルを若ければ若いほど高く感じてしまうんだと思います。

■「楽しくない」「オーガズムに至らない」悩みは強固なイメージが原因?

パートナーに伝えられない不安や嫌なこととして多くの人が選んだ「必ずしもオーガズムに至らないこと」と、「楽しくないときがあること」には、2つの共通点がありました。

1つ目は、年代が上がると「パートナーに伝えられない不安や嫌なこと」がなくなる傾向があるにもかかわらず、年代によらず多くの人が気にしている点です。

清田さん:
セックスとはこうあるべきっていう規範がめちゃくちゃ強いんだろうなと思いますよね。昔、「セックス観」を色々な男性に聞くという企画をやったことがあるんですけど、「挿入を伴い、最後射精に至るまでがセックス」みたいなふうに、すごく強く考えている感じがしたんですよね。何回セックスしたっていうのも、射精した回数でカウントしているし。強固にイメージとしてあるから、そうじゃないように見える場合、全部失敗というふうにネガティブに捉えちゃうんじゃないかな。
お互いリラックスして、いい気持ちになって、良い時間になれば「何でもOK」みたいなふうに考えれば、別に今日はただおしゃべりしておしまい。ちょっとマッサージし合っておしまい。寝ようか。でもいいはず。



2つ目の共通点は、男女別で比較すると、「必ずしもオーガズムに至らないこと」と「楽しくないときがあること」を気にしている人は、女性が多いという点です。

清田さん:
女の人は自分がいかなかったら(オーガズムに至らなかったら)相手を残念がらせてしまうんじゃないかというのも、含まれていると感じるんですよね。「私がオーガズムにいけなかったから、このセックスは不満だ!」みたいな部分もあるとは思うんですけど、いけなかったっていうことが相手に「私はセックスが気持ち良くなかったですよ」っていうメッセージとして伝わっちゃうんじゃないかと気にして、いったフリをするとか。
何とか男性の気持ちを損ねないように、セックスを無難に終わらせるために演技したり、自分で自分を盛り上げたりする。それが結構面倒臭いし、楽しくないっていう女性の体験談を聞いたことが多々あるので、この数字の背景にはそういう今まで聞いた具体例が重なっちゃう感じがありましたね。

■「伝える仕事」アナウンサーから見る「性的同意」とは?

性的な行為をする前に、その行為をしていいかお互いに確認し、同意することを「性的同意」といいます。お互いに嫌な思いをしたり、誤解を生んだりすることなく同意をとるにはどうしたらよいのでしょうか。「伝えること」を仕事としている「news every.」キャスターの藤井貴彦アナウンサーに「性的同意」について話を聞きました。

藤井アナ:
私はとにかく「自分が思ったほど、相手に自分のメッセージは伝わってないんだ」という前提で仕事をしています。
相手との阿吽の呼吸を分断してしまうほど丁寧に確認をしてしまうと、逆に雰囲気が悪くなってしまうんじゃないか、という懸念が皆さんはあるんじゃないかと思うんですよね。でもやらないよりは絶対にやったほうがいい。

こう話す藤井アナが「心配」だと指摘したのは、次の2つの結果です。

■「雰囲気は作ることができる」…雰囲気で「セックスOK」と判断するリスク

セックスに誘うとき、パートナーに対し言葉やお互いに意味を共有している合図での意思確認を「しないことがある」と答えた人に対して「確認しないとき、それはなぜですか」と選択式(複数選択可)で尋ねたところ、「雰囲気でわかるから」が57.79%で最多でした。

藤井アナ:
雰囲気というのは、実は作ることができる。雰囲気で分かるからって同意が得られたと感じてしまうと、雰囲気を無理やり作っている人の気持ちを読むことができないかもしれない。

「アナウンサーは、この言葉が誤解を生まないかどうか、この言葉で誰かが傷つかないか、道の先にある小石を全部拾って怪我を防ぐように、言葉を選んでいる」という藤井アナ。性的同意においても、誘う側がパートナーの気持ちを先回りして想像し、二重三重に確認することが大切だと話しました。

■「機嫌を損ねそうだから…」自分を犠牲にするコミュニケーション

藤井アナの2つめの「心配」は、セックスしたくないとき「断らないことがあるのはなぜですか」という質問(複数選択可)に対して、10代では「断るとパートナーのことが嫌いだと勘違いされそうだから」「断るとパートナーの機嫌を損ねそうだから」と答えた割合が他の年代より高く出たことです。

藤井アナ:
ここがすごく心配ですね。それは自分を犠牲にすることによってコミュニケーションを成立させている状態なんですね。特に自分の意見を言わないということは、自分を大切にしていないということとほぼ同じ意味です。自分を大切にしていない状態を相手に向けてしまうと、必ずコミュニケーションには違和感が生まれます。
相手に対して「こういう理由だから断る」と言えるのであれば、それは自分を大切にしているということ。自分を大切にしている人って、すごく輝いているし美しいし、相手にとっても受け入れやすい人になっていくと思うんですよね。

■セックスに誘われた人も、同意したいときは「大きなYES」を

一方で、同意したい時にも気にかけて欲しいことがあるといいます。それは「誘うエネルギーや勇気と同じ分だけの反応を言葉で返していく」こと。

藤井アナ:
例えば、お父さんやお母さんがご飯を作ってくれましたと。子どもは作ってもらうのが当たり前だから普通に食べますよね。だけど、お父さんやお母さんが一生懸命作ってくれたご飯。どうやって作っているのかを見たら「こんな風にして作ってくれているんだ、ありがとう」って気持ちが湧いてくると思うんですよね。その気持ちが湧いてきた時に「今日も美味しかった。ごちそうさま」ってひとこと言えれば、お父さん、お母さんたちも「よーし、もう一回作ろう。子供たちのために作ろう」って思うようになると思うんです。
同じように、誘う勇気を出してくれたその相手に対して、その分だけエネルギーを返すということで、コミュニケーションは加速していくんだと思います。

■調査方法

本調査は、2023年2月28日(火)~3月2日(木)に、大手リサーチ会社に登録したモニターを対象に行い、1,781人から有効回答を得ました。セックスの経験があると答えた回答のみを有効回答とし、世代間の意識の違いがわかりやすいよう、10代(16歳以上)、20代、30代、40代、50代以上でほぼ同数の回答が集まるよう設定して、男女比も国勢調査に近づけました。

監修:産婦人科専門医 稲葉可奈子氏
協力:JX通信社