東大生が分析…デートの行き先は確認するのにセックスでは確認しないの?【セックスにおけるコミュニケーション調査】
調査結果について話を聞いたのは、「東大で性教育を学ぶゼミ」メンバーの、Aさん(19歳)、Bさん(20歳)、Cさん(20歳)と、公衆衛生とジェンダーが専門で、ゼミで講師を務める福田和子さんです。学生が主体となって立ち上げたこのゼミでは、国連が公表している指導基準にもとづき、包括的性教育を実践しています。
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まずは、「意思確認をする立場」の調査結果について意見をきいてみると…
Cさん:女性側から確認をとる母数自体少ないのかなって思いますよね。
Aさん:「意識していないのでわからない」とか、「確認することはない」とか、女性の方が多いんですね。そもそも知識や発言の面において不利な状況にいて、男性と同等に立てない女性の方が多くいるのでしょうか。
Bさん:少なからず男性には「(セックスをしたいと)求めなきゃいけないんだ!」みたいなプレッシャーがあるだろうし、女性は女性で「(セックスをしたくないのに)求められちゃって…」みたいな場合もある。
Cさん:(同意は)どっちがとってもいいし、どっちが断ってもいい。
福田さん:今異性カップルが前提で話を進めていたけど、同性カップルだったら結構違うかもしれないよね。ジェンダー規範がいかに性的同意に影響しているのかっていうのもまた見えてくるのかな。
Bさん:好意とセックスってそんなにすぐ結びつくものじゃないと思うから、好意を受け入れたからといってセックスもOKってことになるのはちょっと違うのかなというふうには思いました。
Aさん:夜に2人でそういう空気になってしまったら、もうセックスをするのは「お決まり」のようになってしまうと思うので、そういう雰囲気とか感情になる前に確認してほしいです。
福田さん:昼間とか?
Aさん:夕方とか。
Bさん:一般的な感覚として、ラブホテルに行ったら、「そこで性行為をするよね」っていう認識が多分あると思うので、同意をとるんだったらその前段階でとっておかないと。
Cさん:カップルだったら、日頃から話し合えていたらいいよね。
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続いて、「意思確認をする立場」の調査結果については…
Bさん:合図が決まっているんだったら多分ぱっとできるし、すぐ意味も伝わるからいいのかなって思ったけど、そこまで使っている人がいないし、男女差が出るということは、ちゃんと機能していないのかもしれないですね。
Aさん:女性の方が表情で伝えるとかジェスチャーで伝えるとか、「言葉で言わなくてもわかってほしい」って思っているんですかね。
福田さん:言葉は男性が多いけど、ジェスチャーでは女性が増えるのはなんでだろう?
Bさん:断っちゃうと女性側が断るのはあんまりよくないみたいな風潮というか雰囲気、「女性は求められたら応じるものだ」みたいな認識が少なからずあるのかもしれないから、「ごめんできない」って断言するんじゃなくて、雰囲気を壊さないように伝えようとしている。相手から嫌われたくないという気持ちもあらわれているのかな。
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調査結果からは、言葉で確認をすることの意外な効果も見えてきました。
Bさん:確認せず(セックスを)したり、たまにしか確認しなかったりすると、どちらかが「嫌だな」って思っていたり、「本当にこれでよかったのかな」って後から思ったりするかもしれない。その疑いみたいなものが人間関係を深める上で障害になる気がする。
Aさん:2人ともディズニー行きたいときに行った方が楽しいみたいな。たとえ夢の国であっても、片方が行きたくなければそんなに楽しくないのと一緒かな。
Cさん:ディズニーめっちゃわかるな。
Aさん:同意って何においても重要で、それはセックスも例外じゃないんだよっていう一例。
Cさん:だいぶポジティブな捉え方だからいいなって思った。
講師の福田和子さんは、言葉で意思確認できたらそれで大丈夫というわけではなく、意思確認をするにあたって「どれだけお互いが自分の気持ちを言いやすい環境が整えられていたのか」もポイントだと話します。
「嫌だったら言ってね」という声かけをした上での同意と、無理やりホテルの前まで連れて行ってからの同意では、その「同意の質」が異なります。後者はもはや性的同意があったとも言えません。
性的同意をとる責任は性的行為に「誘う側」にあるため、意思確認をする際にはパートナーが素直な意思表示をしやすい環境を整えることが大切だということです。
■調査方法
日本テレビが行った調査は、2023年2月28日(火)~3月2日(木)に、大手リサーチ会社に登録したモニターを対象に行い、1,781人から有効回答を得ました。セックスの経験があると答えた回答のみを有効回答とし、世代間の意識の違いがわかりやすいよう、10代(16歳以上)、20代、30代、40代、50代以上でほぼ同数の回答が集まるよう設定して、男女比も国勢調査に近づけました。
監修:産婦人科専門医 稲葉可奈子氏
協力:JX通信社