【解説】大地震2つ連続発生か 能登半島地震
1月29日から2月4日までの期間、国内では震度1以上の地震が84回発生しました。2月3日午後3時9分頃、山梨県富士吉田市などで震度3の地震がありました。震源は山梨県東部・富士五湖、地震の規模を示すマグニチュードは4.0、震源の深さは25キロでした。
気象庁によりますと、先月1日の能登半島地震以降、石川県能登地方とその周辺を震源とする震度1以上の地震は、今月5日正午までに1599回発生しています。地震回数は増減を繰り返しながら緩やかに減少していますが、能登地方では、この1週間で震度1以上の地震が54回発生するなど、地震活動は依然として活発な状態だということです。このため、気象庁は、今後1週間から2週間ほどは、最大震度5弱程度以上の地震に引き続き注意するよう呼びかけています。
1月1日午後4時10分ごろ、能登半島地震が発生した時の石川県珠洲市宝立町でドライブレコーダーがとらえた映像です。家、電線、車が左右に激しく揺れ、家屋が次々と土ぼこりを上げて崩れていく様子が映っています。珠洲市では震度6強の強い揺れを観測しました。この映像を公開した珠洲市にあるデイサービスセンターの社会福祉法人「長寿会」は「今後の教訓にするために映像を公開した」としています。
国土地理院は、先月20日から21日にかけて、能登半島の西側に位置する輪島市門前町にある「五十洲」という地点の現地測量を行いました。その結果、4.10メートルの隆起、西向きに1.48メートル動いていたことがわかったということです。また、隆起で海岸が陸化した様子も確認しました。
京都大学防災研究所によりますと、地震の波形データなどを解析した結果、ふたつの大地震が、時間差で連続発生した可能性があるということです。1日の午後4時10分9秒に珠洲市付近から断層破壊が始まり、最初の地震が発生しました。その13秒後の午後4時10分22秒には、最初の断層破壊が終わる前に、震源付近から反対の佐渡方向にかけてある別の断層の破壊が始まったとみられています。地震の規模を示すマグニチュードはそれぞれ7.3相当と推定され、最初の地震の影響でふたつ目の地震が連動して発生したことにより、マグニチュード7.6の大規模地震となった可能性があるとみています。
能登半島周辺には、陸域と海域に多くの活断層が存在しています。能登半島地震について、政府の地震調査委員会は、先月、能登半島周辺の複数の断層が連動して動いた可能性があると評価しています。なかでも、佐渡沖の活断層の一部については、1日の大地震で動かなかったとみていて、今後、活断層の“割れ残り”が動き地震がおきる可能性があるため、注意が必要だと指摘する専門家もいたということです。
地震の専門家で、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんによりますと、1日の大地震で、動きが大きかった能登半島沖の活断層は「南西」に傾き、一方、佐渡沖の活断層は「北西」に傾いていて、断層面の傾きが「逆方向」だということです。このため、活断層の動きに違いが出た可能性があると話しています。