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【解説】実は知らない“更年期” 男性も40代後半で… 「受診の目安」となる症状は? 薬使わない治療法も

2022年10月18日 20:50
【解説】実は知らない“更年期” 男性も40代後半で… 「受診の目安」となる症状は? 薬使わない治療法も

10月18日は「世界メノポーズデー」です。メノポーズとは「閉経」のことで、更年期について考える日になります。更年期障害への理解を深めていければと思います。

●実は知らない“更年期”
●60代でも可能性
●男性は40代から
以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■更年期はいつ・症状は? “個人差が大きい”特徴も

女性の更年期は一般的に、閉経を挟んだ10年間のことです。平均的な閉経の年齢はおよそ50歳と言われているので、45歳~55歳前後が更年期にあたる女性が多いということです。

更年期になると、ホルモンバランスが崩れ心身に不調が現れることがあります。これを更年期症状といい、日常生活に支障をきたすほどの状態は更年期障害といいます。「55歳まで」というのはあくまでも目安で、閉経が遅ければ60代でなることもあります。

症状は本当に様々で、日本女性医学学会によると、次のような症状があります。

●血管運動神経症状
ほてり、汗、冷え

●自律神経症状
動悸(どうき)、息切れ、頭痛

●体の痛み
肩こり、腰痛、関節痛

●精神症状
憂うつ、イライラ、不安

●泌尿生殖器の症状
頻尿、尿漏れ、頻尿

多くの症状があげられていますが、これらが重なったり、日によって変わったりして、個人差が大きいのも特徴です。

18日、更年期症状について街で取材しました。

看護師(48・女性)
「自分の親の更年期を見ていた時は面倒くさそうだなと思ったが、実際、自分がなった時には、気がついたらいろいろ体調不良とか頭痛がするなとか、40歳を過ぎたくらいから、体調不良、生理不順とか(症状が出てきた)」

■男性は気づかないこと多く… 40代後半で症状が現れる場合も

更年期は話題に上がることも少なく、なんとなく“女性特有のもの”と思われがちですが、実は男性にもあります。原因は女性と同じくホルモンの減少で、症状も突然のほてりや汗、不安、イライラなど似ています。

ただ、症状に悩む期間は、男女で全く異なります。というのも、女性の場合、更年期症状は女性ホルモンが急激に減少する閉経の前後で起こり、閉経後は徐々に治まっていきます。しかし、男性の場合、30歳以降に男性ホルモンが減少し始め、40代後半で症状が現れることがありますが、女性と比べて変化が緩やかなので気づかないことも多いそうです。

■「更年期障害」厚生労働省が“初”調査 「受診の目安」症状とは

こうした更年期の症状について今年、厚生労働省が初めて調査を行いました。

その結果によると、「医療機関で『更年期障害』だと診断された人」の割合は、女性は40代・50代ともに1割未満で、男性は40代・50代ともに1%台でした。

一方で、「診断はされていないけど自分では更年期障害の可能性があると考えている人」、つまり受診しないまでも“自覚症状がある”という人について、女性は40代で28.3%、50代で38.3%に達していて、男性も40代で8.2%、50代で14.3%いました。

厚労省はこの調査結果の中で、受診の目安になるという症状のリストを紹介しています。女性の場合、次の10個の症状があります。

●顔がほてる
●汗をかきやすい
●腰・手足が冷えやすい
●息切れ・動悸(どうき)がする
●寝つき悪い・眠り浅い
●怒りやすくイライラする
●くよくよ・憂鬱になることがある
●頭痛・めまい・吐き気がよくある
●疲れやすい
●肩こり・腰痛・手足の痛み

また、男性の場合は、17の症状があげられています。

●関節や筋肉に痛み
●発汗・のぼせ
●眠れない・眠り浅い
●イライラ・不機嫌になる
●神経質になった
●不安になりやすい
●筋力の低下
●自分のピークは過ぎたと感じる
●ヒゲの伸びが遅くなった
●性欲の低下
など…

女性と似たような症状が多いですが、「ヒゲの伸びが遅くなった」といった男性特有の症状から、更年期障害に気づくこともあるそうです。

■更年期障害どう治療? 薬使わない食事・運動療法も 

更年期障害の治療法について見ていきます。

薬を使う場合としては、不足しているホルモンを薬で補うことで、更年期の不快な症状を緩和できる方法などもあるということです。
また薬を使わない食事療法などもあります。女性の更年期障害に詳しい、よしかた産婦人科の善方裕美院長にポイントを伺いました。

女性の食事療法のポイント

●朝食をとる

●特に大豆製品を食べる
大豆の「イソフラボン」が女性ホルモンの代わりのような働きをするため、多くとると症状改善に効果的ということです。

●タンパク質をとる
主に魚、ささみなどの脂質の少ない肉が好ましいそうです。

そして、運動療法もあります。善方院長によると、更年期障害で受診する女性の多くは運動習慣がないということで、次のような生活の中で取り入れられる運動を勧めています。

●家事の合間にスクワット
●ラジオ体操
●通勤で1駅歩く

善方院長は「更年期症状はホルモンバランスが崩れるだけでなく、社会的な要因、心理的な要因が絡んで起こりやすくなる」とも話していて、介護や家事、仕事など年齢的に浮上する悩みにも結びついて症状が出やすくなっているということです。

    ◇

更年期症状について、街で取材しましたが、答えてくれたのは1人だけで、「センシティブな話」として、話したがらない人が多くいました。“更年期”は人に言いづらく、1人で抱えてしまい家族や職場で理解してもらえず苦しむ人もいます。だからこそ、症状に悩んだ時は専門医を受診し、自分の心と体に向き合うことが大切です。

(2022年10月18日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)