“つながらない権利”で……72.6%が「勤務時間外の連絡拒否したい」 ストレスや「睡眠の質」悪化も【#みんなのギモン】
近野解説委員
「この問題に詳しい青山学院大学法学部の細川良教授に聞きました。つながらない権利が必要とされる背景には、情報通信技術の発展、つまりスマホやタブレットがあればメールやSNSなどでいつでもどこでもやりとりが可能になってしまったことがあります」
「そして仕事と常につながっている状態というのは、心身の健康に影響を及ぼします。深夜に連絡などが来れば寝る直前でも作業することになり、睡眠の質が低下します」
「また、寝てる間に『もしかしたら連絡が来るんじゃないか』と心配していると、よく眠れないということも考えられます。睡眠の質が悪くなると、肉体的にも精神的にもマイナスを及ぼすというのは、皆さんも仕事柄あり得ますよね?」
刈川くるみキャスター
「ありますね。私は社用携帯を持っていないので、仕事の連絡もプライベートの携帯に来るんです。なので鳴るたびに一日中、『何かあったかもな』と思ってすぐに反応してしまうというのはありますね」
近野解説委員
「それは相当、小さくストレスをため込んでいると思います」
近野解説委員
「海外では法律で、つながらない権利について定めているところも出始めています」
「フランスでは2017年から法律で、従業員50人以上の企業は、勤務時間外のメールの取り扱いについて労使で協議するよう義務付けています。つまり『拒みたい』ということを協議の場で労働者が言えます」
「オーストラリアでは今年2月、従業員が勤務時間外に仕事の連絡を無視しても不利益な扱いを受けないという『連絡遮断権』、つまりつながらない権利を定めた法律が制定されたばかりです」
刈川キャスター
「日本ではどうなのでしょうか?」
近野解説委員
「日本ではまだ法整備の動きまでは進んでいませんが、企業レベルなどで導入しているところもありますし、つながらない権利を守るためのアプリを開発した企業もあります」
「レッドフォックスが2021年から提供する『cyzen(サイゼン)』で、退勤後の社員に連絡を取れなくする設定ができます。このアプリは勤怠情報も兼ねて管理し、アプリに『退勤した』と登録されれば、電話やチャットでの連絡が取れなくなるということです」
「通知が行くだけでも仕事との距離を保てず、離れられません。しかしシャットダウンされることで物理的に仕事との距離を保つことができますし、勤務外のサービス残業も防げるといいます」
「導入した企業からは『業務上の連絡がプライベートな時間に来る心配がなくなり、ストレスが減った』という声が聞かれたそうです」