台湾の大地震で「今こそ恩返し」――日本ができることは? 東北・能登の震災でも…台湾の支援が大きな力に【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「台湾地震 日本ができることは?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●台湾は「地震の島」 過去にも被害が
●「今こそ恩返し」 どこへ寄付?
「過去25年で最大規模、気象庁によるとマグニチュード7.7の地震によって、台湾からは深刻な被害が伝えられています。現地では消防などによる懸命な救助活動と安否の確認が行われています」
「4日午前までビルに閉じ込められていたという男性に、大きな被害が出た台湾東部の花蓮県で取材しました」
男性
「頭がふらふら、足もふにゃふにゃだ。地震が大きすぎて、物が全部倒れた。冷蔵庫も勝手に滑り出して、1メートルぐらい移動したよ」
小林解説委員
「一方、4日朝に花蓮県で撮影された映像では、山間部のトンネルに取り残された人々が、カメラに向かって手を振る様子が確認できます」
「台湾当局によると、日本時間4日午後3時半現在、この地震でこれまでに9人が死亡、1067人がケガをしています。今も642人が取り残されている他、42人と連絡が取れていないということです」
鈴江奈々アナウンサー
「発生から31時間ほど経過していますが、今もなお助けを求めている方がいて、まだ地震も続いています。また救援に向かうのも時間がかかっているということで、本当に心配ですね」
小林解説委員
「過去にもたびたび、台湾は大きな揺れに襲われてきました。1999年には今回と同じクラスのマグニチュード7.7の大地震が発生。9月21日に発生したことで『921地震』とも呼ばれ、死者2400人以上、負傷者8700人以上という甚大な被害が出ました」
「2002年3月31日にはマグニチュード7.0、2018年2月7日にはマグニチュード6.7、最近では2022年9月18日にマグニチュード7.3と、繰り返しマグニチュード7クラスの大きな揺れに見舞われています」
桐谷美玲キャスター
「台湾は仕事やプライベートで何度か訪れたことがあります。親しみがあるし、本当に心配ですね。日本と同じように地震が多いということですが、それには何か理由があるんですか?」
小林解説委員
「地震防災に詳しい愛知工業大学の横田崇教授に聞きました。台湾は、日本以上に複雑な地殻の上にあるといいます。台湾の地下深くにあるプレートを見るとよく分かりますが、陸側にはユーラシアプレートが、東側にはフィリピン海プレートがあります」
「フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいますが、台湾はこの沈み込みの真上に位置し、東側が非常に深い海溝になっています。日本の東側にも同様に深い沈み込みがありますが、台湾の東側では特に沈み込みが複雑になっているといいます」
「ここの地殻はまるで、ぞうきんを絞ったような構造になっていて、日本以上に複雑です。左右から押されるような形になっているので、非常に地震が起こりやすいエリアだということです」
山崎誠アナウンサー
「地震が起こりやすいということですが、日本も地震が多いのでその怖さは痛感していますし、少しでも被害が大きくならないことを願います」
小林解説委員
「まだ今回の地震の被害については全容が明らかになっていません」
「ただ台湾での大地震が報じられると、すぐに日本のSNSでは『今こそ恩返しするときだ!』『3倍4倍返しで支援がしたい!』といった思いや、『どこに寄付したらいい?』『どの寄付先が信用できるのか?』といった声が相次ぎました」
桐谷キャスター
「2012年に私が取材で行った時、日本のファッションや雑誌が浸透していて、『日本が大好きだ』と言ってくれる若い方がたくさんいたんですよね。自分たちに何ができるかを考えたいですね」
小林解説委員
「これまでも台湾の皆さんは、日本で大きな災害が起きるたび、救助隊や物資、多くの義援金を送ってくださいました。義援金は2011年の東日本大震災では250億円以上、今年1月の能登半島地震ではわずか2週間、民間だけで25億円以上にも上ったということです」
「今年1月に台湾・台北を取材した際の映像を見ると、コンビニなどの街の至る所に、日本の能登半島地震への義援金を呼びかけるポスターが貼られているのが分かります」
鈴江アナウンサー
「日本人の1人として改めて感謝の気持ちをお伝えしたいです。私は1日まで能登に入っていましたが、まだまだ手つかずで大変な状況が続いています。今後、復旧・復興に向けて必ず大きな力になりますよね」
小林解説委員
「そうだと思います。実際に、台湾からの義援金は様々な形で役立てられています。能登半島地震があった石川県では被災した方々に現金が支給されています。岩手県では、津波で全壊した保育所を再建したり、公営住宅を建設したりといったことに使われています」
小林解説委員
「宮城・南三陸町では、被災した病院の建設費に充てられ、今でも台湾との交流が続いているそうです。町の担当者は『台湾の地震を心配している。お互いに助け合うことが必要だと思っている』と話しています」
忽滑谷こころアナウンサー
「過去にやってもらったからお返しをする、というわけではないですが、台湾からの支援がこうして日本の力になっていることを見ると、やっぱり恩返しはしたいなという気持ちにはなりますよね。一方で支援がしっかり届く、信頼できる支援窓口も気になります」
小林解説委員
「今回台湾で地震が発生してから1日半ほどしか経っていませんが、さっそく支援の窓口を開く動きが出てきています」
「Yahoo!ネット募金でNPO法人ピースウィンズ・ジャパンに寄付をすることができます。災害医療チームの派遣や、食料・衛生用品などの緊急支援に活用されるということです」
「台湾にも店舗が多いコンビニのファミリーマートは、日本全国約1万6300店舗の店頭で、5日から2週間、支援金を受け付けるということです。また茨城・笠間市やつくばみらい市、東京・稲城市など、役所に募金箱を設置する動きも出てきています」
小林解説委員
「ただ、注意しないといけないのが偽サイトです。これまでも災害が起きるたびに本物のように見せかけて寄付を募るサイトが出ています」
「皆さんのせっかくの善意が悪用されないように、本当に信頼できるサイトなのか、一度立ち止まって確認してから寄付するようにしてください」
鈴江アナウンサー
「十分ご注意いただきたいと思います。生活動線の中にあるコンビニエンスストアや、自治体がやっている募金ですと、安心して身近に参加できるんじゃないかなと思いました」
「能登に行ってもまだまだ支援を求めている状況で、改めて『困ったときはお互い様』という気持ちを広げることが大事だなと感じました。その気持ちを国内だけでなく、国外で困っている方たちにも広げていけたらいいなと思います」
小林解説委員
「日本が苦しいときには台湾から、台湾が苦しいときは日本から。温かい気持ちの交流がさらに大きな支援の輪となり、多くの人の助けになることを願っています」
(2024年4月4日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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