“拒食症”の子ども患者 コロナ禍で増加したまま高止まり
「神経性やせ症」、いわゆる“拒食症”の子どもの患者が、コロナ禍で増加したまま高止まっていることが分かりました。
国立成育医療研究センターは、子どもの心の実態調査のため、今年4月~5月末に全国30医療機関にアンケートを送り、20歳未満の患者について回答を得ました。
この調査で、「神経性やせ症」の患者がコロナ禍で増加したまま高止まりしていることが分かりました。
「神経性やせ症」とは、いわゆる“拒食症”のことで、摂食障害のひとつです。極端に食事を制限したり、過剰な食事後に吐き出したりするなどして、正常体重より明らかに低い状態になる疾患のことです。
「神経性やせ症」の初診外来患者を、新型コロナウイルスが流行する2019年度と流行後の2020年度と比べると約1.6倍に増加し、昨年度も同じく約1.6倍でした。また、新規入院患者数も、2019年度と2020年度を比べると約1.5倍に増加し、昨年度も同じく約1.5倍でした。
「神経性やせ症」の患者が増加している背景については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、生活環境のストレス、休校・学級閉鎖、行事などが中止になったことに加え、感染症への不安などがあると調査グループは推測しています。
専門医らがまとめた「初期診療の手引き」によると、標準体重の65%を切ると入院をしての治療が望ましいとされていて、栄養投与や心理療養などが行われるということです。また、治療の取り組み方としては、「治りうることを伝える」「小さな目標を少しずつクリアするよう促す」などと記載されています。
一方、摂食障害の患者のための病床数は不足していて、特定の病院に入院患者が集中していることが推測されています。調査グループは、「病床数の確保と、診察出来る医療機関の拡充が求められている」と指摘しています。
こうした中、「本人が病気を否認して医療機関での受診が遅れがち」だとして、家族や教育機関が子どもの食欲や体重の減少に気を配り、深刻化する前に内科や小児科などのかかりつけ医に受診することが必要だとしています。