「防災白書」関東大震災から100年のことし、過去の災害教訓にさらなる防災対策強化へ
政府は今年度の「防災白書」を閣議決定しました。今年は1923年に発生した関東大震災から100年の節目となることから、関東大震災の被害やその後の対応を検証するとともに、災害対策の進展が記載されています。さらに、切迫する首都直下地震への備えや、気候変動に対応した風水害対策の重要性を強調しています。
国の災害対策の取り組みや方向性を示す今年度の「防災白書」では、関東大震災の発生から今年100年をむかえることから、当時の被害状況をはじめ、復興までの歩みが紹介されています。
関東大震災以降も、日本では伊勢湾台風や阪神・淡路大震災、東日本大震災など多くの大規模災害を経験してきましたが、災害を契機に、政府の初動体制が強化されたり、被災者支援体制の充実が図られたりするなど、災害対策は着実に充実し、強化しているとしています。
その一方で白書は、関東大震災の当時と比べると大都市圏への人口集中が進み、総人口の約3分の1が、1都3県に暮らす現状をあげています。切迫する首都直下地震に備えて、交通機関のまひ、膨大な数の避難者や帰宅困難者の発生、深刻な物資不足など、100年前の震災当時よりも一層の対策が必要としています。
そして、適切な避難行動で地震被害を最小化できることから、一人ひとりが地震対策の重要性を再認識して防災対策をおこなう必要があると指摘しています。
また近年は、地震だけでなく台風や豪雨などによる大規模な風水害も相次いでいますが、内閣府が去年9月に実施した「防災に関する世論調査」では、自然災害への対処などについて「家族や身近な人と話し合ったことがない」と回答した人のうち、約6割が「話し合うきっかけがなかった」としています。こうしたことから、国は、自然災害のリスクを認識しているものの、一歩が踏み出せていない人に対してより一層、働きかけていく必要があるとしています。
さらに、地球温暖化の影響などによって日本の年平均気温が100年あたり1.3℃上昇し、これに合わせるように大雨や短時間強雨の発生頻度が増加しています。気候変動による降雨量の増加を考慮した治水計画に見直すほか、甚大化する風水害の脅威を認識して、防災や減災を意識して行動することが当たり前になる防災・減災が主流となる社会の形成を目指して、国をあげて災害対策に取り組む必要性を訴えています。