“蒸気噴出” 「一生対応してくれるのか」2回目の住民説明会も紛糾 ヒ素検出で農家は風評被害を懸念
北海道蘭越町の山林で大量の蒸気が噴き出し、水から高濃度のヒ素が検出された問題で、10日に2回目の住民説明会が開かれました。農家などからは風評被害を懸念するなど、厳しい声が聞かれました。
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三井石油開発 原田英典社長
「ご迷惑をおかけして、申し訳ございません」
11日午後、三井石油開発の原田社長は北海道の鈴木知事のもとを訪れ、掘削工事で蒸気が噴き出した問題について謝罪しました。
北海道蘭越町の山林で、6月29日から噴き出し続けている「蒸気」。
記者
「発生から10日以上たちました。山にはモヤがかかっていますが、町中からも蒸気がはっきりと上がっているのが見えます」
蒸気は地熱発電の調査のための掘削中に噴出し、いまだその勢いは収まっていません。
さらに、敷地内の水からは飲料水の基準の2100倍もの「ヒ素」を検出。この水は敷地の外に放出され続けています。こうした事態に不安を漏らすのは、町内の米農家です。
米農家 脇山良明さん
「穂が入っているこの中にお米の赤ちゃんの状態なんです」
夏場は稲の生育にとって大切な時期です。いまのところ使っている水にヒ素の影響はありませんが、風評被害が懸念されています。
米農家 脇山良明さん
「お客さんから心配の声で毎日、『大丈夫ですか』って電話やメール、FAXが届く」
こうした中、10日に2回目の住民説明会が開かれました。明かされたのは会社側の“不十分な計画”です。蒸気を抑える装置があらかじめ取り付けられていなかったことがわかりました。
蒸気が噴き出したのは深さ200メートルほどの地点。しかし、計画では深さ700メートルまで掘り進めてから装置を取り付ける予定だったというのです。
三井石油開発 担当者
「我々の検討が不十分だった可能性もある」
参加した住民
「1年ぽっきりの風評被害で終わるとは思えない」
米農家 脇山良明さん
「俺たちは一生ここで暮らして、仕事をしていくのに。それに対してどう接して、一生接してくれるのか」
敷地内にあるヒ素を含む水の移動作業はあと10日ほどかかる予定で、蒸気を抑える対策も早くて8月下旬までかかる見通しとなっています。
蒸気の噴出からまもなく2週間。すばやい対応と対策が求められています。