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はしか感染 国内で広がる可能性なぜ #みんなのギモン

2024年3月13日 16:55
はしか感染  国内で広がる可能性なぜ #みんなのギモン
提供:東京都健康安全研究センター

東京都が2日連続で、はしか(麻疹)感染者が確認されたと発表し、感染者が訪れていた「空港名」「新幹線の列車名」「ファミレスの店舗名」などを明らかにしました。はしかは感染力が強く、他の人が同じ空間にいただけで感染する可能性があるために注意を呼びかけているのです。

世界的に流行しているはしかが今後、国内で広がる可能性があります。その怖さと広がり方とは、そして予防策は。(報道局 調査報道班 小野高弘)

■新幹線、ファミレス・・・行動履歴が

東京都の発表によると、大阪在住の20代の女性は先月24日にアラブ首長国連邦から飛行機で関西国際空港に到着。今月7日、頭痛を感じながら新大阪駅から新幹線のぞみ24号6号車で品川へ。銀座コリドー街の飲食店で午後9時から食事をしてホテルで宿泊。翌日になり発疹や発熱があり検査をしたところ陽性でした。

都内の5才未満の男の子は2月下旬に南アジアから帰国。今月3日に足立区のファミリーレストランで食事した翌日に発熱などの症状があり、自宅で様子見をしていましたが、8日に発疹が出て入院することとなり感染が確認されました。

こうして東京都が詳しい行動履歴を公表している理由は、はしかの感染力が極めて強いためです。

■1人の観光客から100人以上に

国立感染症研究所によると、はしかは人から人へ感染し、接触感染や飛まつ感染だけでなく空気感染もします。感染した人が咳やくしゃみをすると、同じ空間にいただけでうつる可能性があるとされています。

今回、東京都で感染が確認された女性は、同じ飛行機に搭乗していた人の間での感染が原因だとみられていますが、去年には、新幹線で同じ車両に乗っていた人で感染が確認されていました。

免疫のない集団に1人の発症者がいたとすると、インフルエンザは1~2人の人が感染するとされているのに対して、はしかは12~14人に広がるとされています。

2018年に沖縄で、はしかに感染していた外国人観光客が感染に気づかぬまま3日間、観光して回ったところ、この観光客1人に端を発して沖縄県内だけで101人に感染が広がったことがわかりました。さらにそこから東京都、神奈川県、愛知県にも広がりました。

はしかは潜伏期間が10~12日と長く、最初は咳や鼻水などの風邪のような症状が2、3日続き、その後に39度を超える熱が出て全身に発疹がでます。特効薬はなく解熱剤や咳止めなどの対症療法を行って回復を待つしかありません。

一方で怖いのが、肺炎や中耳炎を合併しやすいことです。そして重症化すると脳炎を引き起こし、1000人に1人の割合で死亡するケースがあるとされています。また妊娠中に感染すると、流産、早産、死産が3~4割の確率で起こるともされています。

■国内で感染広がる可能性

2023年の世界でのはしか感染者数は約30万人で前の年の1.8倍。アメリカの疾病対策センターによると、新型コロナウイルスの影響で、はしかワクチンの接種機会が減ったことで世界的に流行のリスクが高まっているといいます。

日本でも同様に新型コロナの流行の間、はしかワクチンが接種できていなかった人が一定数いるとみられ、はしかの感染者が増える可能性があります。

また、インバウンドに注力していることもあり、外国からの観光客数は今年1月には、去年1月と比べて約1.8倍に増えています。はしかが流行している国・地域からの流入も増えるとみられ、その分リスクは高まるといえます。

■どう防ぐ?

国立感染症研究所は「はしかウイルスの直径は100~250nmであり、飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染しますのでマスクでの予防は難しくなります。唯一の予防方法は、ワクチン接種によって免疫をあらかじめ獲得しておくことです」としています。

でも、「子どもの頃、はしかにかかったかもしれないし、あるいはワクチンを1回だけ接種したような・・・母子手帳も残っていなくて記憶が曖昧なんだけど」という方、多いのではないでしょうか。

そこで、感染症に詳しい「いとう王子神谷内科外科クリニック」の伊藤博道医師に聞きました。

伊藤博道医師
「はしかにかかった人は生涯の免疫ができています。でもワクチンを1回接種だと抗体がつくのは95%、さらに30年も経過すると免疫は低下してしまいます。なので2回接種した方がいいのです。自分に免疫があるかどうか不安な方は、抗体検査をうける方法があります」

はしかに特に気をつけるべき人は、どんな方々でしょうか?

伊藤博道医師
「基礎疾患があって重症化のリスクが高い方。骨髄移植などで免疫力が低い方です。また妊婦さんや妊娠を考えている方は、はしかにかかると流産、死産の確率を上げてしまうので注意が必要です」

インフルエンザや新型コロナウイルスの流行で感染症への意識が高まっていますが、はしかから身を守る備えも確認しておきたいところです。


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