佳子さまギリシャへ 外交125周年の公式訪問
■若さと笑顔、手話を生かしたコミュニケーション
――秋篠宮家の佳子さまは5月25日から8日間ギリシャを公式訪問し、28日、ギリシャ初の女性大統領、サケラロプル大統領を表敬訪問されました。佳子さまは、大統領から歓迎の挨拶を受け、感謝の言葉と天皇陛下からのメッセージを伝えられました。
佳子さま:「このように温かくお迎えいただいておりますことに心から感謝申し上げます」
「天皇陛下からのお言葉でございます。くれぐれもよろしくと仰せでした。また(外交関係樹立)125周年と文化観光年を契機に、ギリシャとの日本の友好親善が深まることを願っておりますとのお言葉でございました」
29日には、聴覚に障害がある人々などの職業訓練や生活支援を行う「国立ろう者施設」をご訪問。全日本ろうあ連盟の非常勤嘱託職員として手話を使われている佳子さまは、ギリシャの手話で「今日はここに来ることができてうれしい。お会いできてうれしい」と挨拶されました。
――井上さん、このニュースをどうご覧になりましたか?
佳子さまの若さと笑顔が、そして得意の手話を生かしたコミュニケーションが、友好に大いに役立ち、外交関係125年のとてもいいご訪問だと思いました。
◾️公式訪問は100周年の常陸宮ご夫妻の例だけ
ギリシャは、高円宮ご夫妻や、三笠宮家の彬子さま、常陸宮ご夫妻が旅行されていますが、公式な訪問では、1999(平成11)年3月、外交関係100周年の節目に常陸宮ご夫妻が訪ねられた例だけです。不思議なことに、上皇ご夫妻も、今の天皇陛下も、訪問がないんです。
――そうなんですね。
ギリシャは19世紀に王国となりましたが、共和国、王政復活と体制が大きく変わり、戦後の冷戦下の内戦や軍事政権を経て、王政を廃止して共和国になりました。125年という外交の節目に、皇嗣の秋篠宮家の内親王が訪問された意味は大きいと思います。
両陛下も、秋篠宮ご夫妻も、多くの国々を訪問されていますが、全てというわけにはいきません。ギリシャは佳子さまにとって3回目の親善訪問でしたが、両陛下や秋篠宮ご夫妻が担えない国々を訪問して、親善の輪を広げていっていただきたいと思います。
――佳子さまはギリシャの子供たちに笑顔で声をかけたり、ギリシャ語で挨拶をされたり、にこやかに笑顔で交流されているのが印象的でした。
そうですね。通訳を介さずにダイレクトに言葉を伝えたいという思いが伝わってきたご訪問だったと思います。
――私も佳子さまと同世代なのですが、笑顔で親しみやすさのある佳子さまの印象がとても素敵に感じました。
【井上茂男(いのうえ・しげお)】
日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)