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【解説】安定的な皇位継承のあり方は 皇族数の確保へ2つの案の議論始まる

2024年5月17日 21:38
【解説】安定的な皇位継承のあり方は 皇族数の確保へ2つの案の議論始まる

安定的な皇位継承のあり方をめぐり、皇族の数を確保するための方策などについて話し合う衆・参両院の議長や与野党の代表者らによる会議が17日から始まりました。

現在、女性皇族を結婚後も皇室に残す案と、皇族が旧宮家の男系男子を養子に迎える案の2つが議論されています。この2つの案について、皇室の歴史に詳しい京都産業大学名誉教授の所功さんに話を聞きました。

■皇室の課題 議論されている2つの案に対する各党の反応は

山崎誠キャスター
「今、課題となっているのが、皇族の減少です。現在、皇室は17人で構成されています。若い世代は、悠仁さま以外は愛子さまを含め5人全員女性です。女性皇族は結婚すると皇族の身分を離れることになっているので、悠仁さまとその配偶者以外に、将来、皇族がいなくなることが考えられます。さらに、皇位を継承する資格を持っている男性は3人です。秋篠宮さま、悠仁さま、そして3人目は常陸宮さま、88歳です」

「そこで17日、2つの案について国会での議論が始まりました。1つ目が『女性皇族を結婚後も皇室に残して皇族の数を確保する案』。もう1つが『皇族が旧宮家の男系男子を養子に迎えて皇位継承者を確保する案』です」

「まずは、女性皇族が結婚後も皇室に残る案について、17日に各党が主張した内容をみていきます。自民党は『賛成』。その上で、女性皇族の配偶者と子どもは皇族の身分を持たないことが適切としています。公明党は、制度化を検討すべきとし『賛成』です。一方で野党・立憲民主党は、女性皇族と結婚した配偶者や子どもの身分をどうするか、慎重に議論する必要があるとした上で『賛成』を表明しました。日本維新の会は皇位継承資格を女系に拡大することにつながるのではないかと懸念する声があると指摘しています。共産党は、女性天皇も女系天皇も認められるべきという立場をとっています」

「続いて、皇族が旧宮家の男系男子を養子に迎える案についてです。こちらは旧宮家、つまり戦後に皇籍を離脱した宮家の中で、父方だけをたどっていったときに天皇がいる男子、「男系男子」を養子にするという案です。これについて各党の案をみていきます。自民党は『賛成』。ただし養子となった男性自身は皇位継承資格を持たず、その後に生まれた男の子が継承資格を持つことが適切としています。公明党も同様です。立憲民主党は、党としての結論はまだ出しておらず、まずは養子の対象となる人がいるのかをその人の意思とともに確認すべきとしています。日本維新の会は、この案を高く評価できるとして『賛成』しています。そして共産党は、反対と主張しました」

■皇室の課題 専門家「遅きに失しておるほど先送りにされてきた」

森圭介キャスター
「国会での議論が始まりましたが、所さんはどうみていますか?」

京都産業大学名誉教授 所功さん
「今回スタートを切られたということは意味があると思います。ただ、あえていいますと、遅きに失しておるほど先送りにされてきたということでありますが、これ以上は先へ延ばさないというところへ至ったのは結構なことだと思います」

森キャスター
「もう待ったなしの状態だということです。笛吹さんに聞きますが、現在の皇室はどういう状況なのでしょうか?」

宮内庁担当 笛吹雅子解説委員
「宮内庁のホームページに動静が記載されていまして、その件数だけを見ても、今年4月の1か月、天皇ご一家は約50件、秋篠宮家は30件以上、他の宮家も30件以上あります。今も88歳の常陸宮さま、83歳の華子さまも担われています。女性の皇族については、公務をご結婚により他の人に引き継がれることになります。例えば、日本テニス協会などの名誉総裁などは、小室眞子さんから妹の佳子さまに引き継がれました。佳子さまがご結婚されたら次は?となると、先々の担い手はどんどん減っていっていると実感します」

森キャスター
「そういった状況を踏まえて、所さんは今後の皇室についてはどうあるべきだと考えていますか?」

所名誉教授
「各論はさておいて、総論としていうと、皇室はやはり然(しか)るべき皇族がおられなければ成り立たないわけです。その皇族というのは男子・女子問いません。とにかく、皇室に生まれ、育たれた方が中心であり、そこへ結婚して入られた方が皇族になるわけですが、そういう方が一定数おられることが必要であり、それがもうこれ以上減らないようにする。少しでも増やすようにするという今回の案は結構だと思います」

■2つの案 今後もしっかり再検討を

森キャスター
「2つの案が出されていますけど、これについてはどうですか?」

所名誉教授
「問題は、皇室に生まれ育った未婚の皇族女子が、結婚されても皇室に残れるというふうにすることは、皇族としての役割は続けられるということですから、これは必要であり結構なことだと思います。ただし、その夫として入られる方もそのお子さんも皇族にしないというふうなことが、もともと有識者会議の報告にありますけれども、それはいかがなものかと思います。これは今後ともしっかりと再検討してほしいと思います」

「養子案については、これまたある意味で難しい問題がもっとあると思いますけれども、その可能性も今回開いて、具体的なことは、養子というのは送り出す側も送られる側も意向が一致しなければ成り立たないことですから、これは丁重にことを運んでいただきたいと思っています」

森キャスター
「『女性皇族を結婚後も皇室に残して皇族の数を確保する案』では、その女性皇族を結婚後も皇室に残すときには、その女性皇族の配偶者がいるわけですが、その配偶者もともに皇族になるのか、それとも一般人として、家庭内に皇族と一般人がいることにするのか、というところが問題になるわけです。そして『皇族が旧宮家の男系男子を養子に迎えて皇位継承者を確保する案』は、これまで皇室離脱から77年の時がたっているので、一般人として生活した人が急に皇室に入るのはなかなか難しいものがあるのではないかということです」

■2つの案 今後の進め方・課題は

陣内貴美子キャスター
「今回、本格的な議論が始まったばかりですけれども、すぐになにかが変わるわけではないと思います。では、どういうふうに進んでいくのでしょうか?」

笛吹解説委員
「17日の会見でも、国家のあり方として根幹をなすという話がありましたが、こうした制度は皇室典範という皇室の法律で決まっているので、それを変えることになります。上皇さまの退位の際は、特例法というもので皇室典範の本体を変えなくても運用できるという前例ができました。当時は各社の世論調査で9割の支持があったわけですが、それくらいの支持がないと皇室典範を変えるのは大変だろうと宮内庁幹部も話しています。また、側で仕える人たちは、やはり新しい制度については実現性というだけでなく、皇室の方々の気持ちやその人生に寄り添うものであるか、注目しています」

森キャスター
「簡単なことではないというのはよくわかりますが、所教授自身はどのように進めるべきだと考えますか?」

所名誉教授
「今まで大事なことは、ある意味でおざなりにされてきたわけですから、今回一挙に解決ができるはずがないのです。まず第一歩を踏み出して、当面、皇族女子が皇室に残れるとか。あるいは養子という形で皇室に入られて、皇族数を一定数確保できるような道を開くということですが、その具体的なあり方は、指摘したようなことが問題としてありますから、それは今後検討して、改めてまた手直しをしていくと。つまり、改正は何回も重ねて、それで厳密に運用しやすいようにすると。そういうことを続けなければいけない。今回は、そういう意味では、結果的には皇室典範そのものの改正は難しいとすれば、特例法でこの2つの案を実現できるような道を開けばよいと思っています」

森キャスター
「とにかく時間をかけて丁寧な議論が必要とされるのはもちろんですけれども、私たち国民も、関心を持って見守っていこうと思います」