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震災の記憶…保存と継承 東日本大震災から13年、宮城・石巻市から中継

2024年3月11日 17:38
震災の記憶…保存と継承 東日本大震災から13年、宮城・石巻市から中継

東日本大震災から11日で13年となります。現状や課題について伝えてもらいます。宮城県石巻市から中継です。

私がいるのは宮城県石巻市の津波復興祈念公園です。かつて、ここは4500人が暮らす住宅街でしたが、高さ6.9メートルの津波が押し寄せ、いまは犠牲になった方々を悼む場として整備されています。

そして、震災の1か月後に掲げられた「がんばろう石巻」看板の下には、4000もの灯籠が並べられていて、ボランティアの方々によって点火の作業が行われています。4000という数は、ここ石巻で犠牲になった人の数を表しています。

灯籠には「追悼」、そして「震災を思い起こす、きっかけにしてほしい」という思いが込められていますが、あれから13年がたって、震災の記憶をどう伝えていくかが大きな課題となっています。

建物を超える高さの津波に襲われた、南三陸町の旧防災対策庁舎は、遺族への配慮などから一旦は解体が決まりましたが、震災から13年を迎える今月、町は自分たちで保存していくことを決めました。記憶の風化を防ぐというのが目的です。

南三陸町・佐藤仁町長「防災対策庁舎を見ることで、みなさんが“自分ごと”として捉えていただければ、これに越したことはない。未来の命を守るのが、この防災庁舎の大きな役割」

震災で夫を亡くした女性「(夫が)最後まで町民に避難を呼びかけた場所を残していただけることは大変ありがたいこと」

町は一時、賛否が分かれた建物を残すことで、風化にあらがうことを決めました。

――震災から13年たちますが、いまの中学生くらいまでは全員、震災の記憶がない世代になり、今後さらに増えていきます。一方で語り部の高齢化も問題で、担い手不足も懸念されているということですね。

ここ石巻の伝承館では、高校生や大学生が震災の記憶を伝える解説員として参加していて、若い世代の育成も始まっています。

「経験していないと伝えられない」ではなく、「経験していなくても伝えたい」という思いがあれば、そこを乗り越えていける。そんな動きが出ていることは明るい兆しだと感じています。