“偽メッシ”まで……「フェイク画像」拡散、リポストにも要注意 AIエンジニアが警鐘「ネットにフェイクがあることを前提に」
AIで生成されるなどしたフェイク画像やフェイク動画が拡散され、大きな問題になっています。日本政府も強い危機感を抱いています。ただ、本物かどうかを見極めるのは困難。フェイクがあるという前提に立ち、リポストや拡散に注意することが必要です。
■中東情勢に関係したフェイク画像も
「フェイク画像は、イスラエル・パレスチナ情勢に関係したものも拡散されています。サッカーのメッシ選手が、イスラエルの国旗を持ってまるでイスラエル軍を支持しているように見えますが、これもフェイク画像です」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「もとになったとみられる画像は、ロイター通信によるとスポーツの記念品を販売する会社の公式SNSに投稿されたものです。メッシ選手の表情も背景も同じに見えます」
■ガザ地区の男性? 不自然な点は
小栗委員長
「別の画像では、ガザ地区で子ども5人を連れて歩く男性とみられる写真もあります。これもフェイクです」
「おかしいのは、おんぶされた子どもたちの手。拡大すると、手の組み方が不自然に見えます。こうした点からAFP通信は、AIで生成されたフェイク画像と分析しています」
■岸田首相のフェイクも…政府「危機感」
有働キャスター
「日本でも岸田首相のフェイク動画が作られていますが、政府はどう対応しようとしているのでしょうか?」
小栗委員長
「政府は『非常に強い危機感を持っている』としています。ただ、河野デジタル担当大臣の側近は『AI の犯罪を取り締まるのはAI技術でしかないので、その開発は急いでいるが、今起きている犯罪の予防には追いついていない』と明かします」
有働キャスター
「今のところは、私たちが気をつける必要がありますね」
小栗委員長
「そうです。AIエンジニアの安野貴博さんは『フェイク動画を作成したり投稿したりした人はもちろん、それを信じ込んでリポストや拡散をした人も、名誉毀損で訴えられる可能性がある』と指摘します」
「安野さんはまた、『見極めは非常に難しくなっているので、ネットにはフェイクがあるということを前提にしなければならない』と話しています」
■辻さん「SNSのあり方を考え直す必要も」
有働キャスター
「フェイク動画やフェイク写真は、つい目を引くように作られています」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「特に、旧 Twitter の X は投稿(の閲覧数など)が伸びるとお金が入る仕様に変わって以降、真実かどうかは置いてけぼりで、とにかく稼ぐために、刺激的な投稿をする人も増えたように思います」
「プラットフォームやサービス側の設計が引き起こしている面も大いにあると思うので、SNS自体のあり方を考え直す必要も感じます。例えば、フェイクを見分けるフィルター機能など、AIなどを利用して警告を出してくれるようなサービスも出てきてほしいです」
有働キャスター
「見抜くのは難しくても、拡散しないことは誰でもできます。社会や自分を不安やリスクから守ることにもつながるので、『おっ』と思った動画こそ、少し立ち止まる。ぜひ、リポストやシェアの前に一呼吸置いてみてください」
(11月8日『news zero』より)