土用の丑の日ピンチ? 「おいしいので…」日本向けのうなぎが中国で大量消費 仕入れ値“4割”高騰も
23日は「土用の丑(うし)の日」です。猛暑をうなぎで乗り切りたいところですが、今年はうなぎも高騰し、昨年から3~4割ほど仕入れ値が上がってきている状況です。さらに、日本に届くはずのうなぎが、中国国内で大量に食べられているといいます。一体なぜなのでしょうか?
◇
職人の技が光る繊細な焼き加減。東京・台東区にある「駒形 前川 浅草本店」では、220年もの間、つぎ足してきたという秘伝のタレをまとわせた老舗のうな重(特上7500円)を提供しています。
23日は、“うなぎの日”ともいえる「土用の丑(うし)の日」です。風物詩として食べる人や、暑い夏を乗り切るために食べる人も多いはず。しかしいま、この「うなぎ」がピンチだといいます。
駒形 前川・7代目 大橋一仁さん
「昨年から3~4割くらい(仕入れ値が)上がってきている状況でございます」
「駒形 前川」では、国産うなぎのみを使っていますが、仕入れ値は去年に比べ、約4割上がったといいます。
大橋さん
「値上げをせざるを得ない状況なのかなと」
その理由は、日本に輸入されるうなぎに関係しているといいます。
◇
13日、成田空港に届いたばかりの活(い)きのいいうなぎは台湾産です。実は、輸入の8割以上を頼る中国から、うなぎが届かなくなってきているというのです。その中国で何が起きているのでしょうか。
上海のスーパーを訪ねてみると、日本でなじみのある「うなぎのかば焼き」が、数多く並べられていました。さらに別のスーパーでも、「ジャパニーズスタイル」と書かれた冷凍のかば焼きが売られていました。
中国では、かつて“高級食材”とされてきたうなぎの人気が、一般の人たちの間で急拡大しているのです。
上海市民
「味がおいしいので好きです」
上海市民
「以前はよく日本料理店で食べましたが、最近はパックされたウナギご飯を買って、家で食べることが多いです」
中国・福建省でうなぎを生産する業者は、2019年に比べ、日本向けの輸出が2割ほど減ったといいます。
中国のうなぎ生産者
「コロナ禍のせいで、日本向けの販売量が減っています。これを機に、我々は国内販売を拡大させ、強化しています」
原因は、新型コロナでした。日本からの注文が減ったことなどで、行き先を失ったうなぎを中国で販売していました。スーパーなどにも出回るようになった結果、中国での消費が拡大したのです。
こうした中、中国ではさまざまなうなぎメニューが登場しています。うなぎを使ったチャーハンに、うなぎとビーフンという日本にはない“麺メニュー”。さらに、尾頭付きの蒸したうなぎまでありました。地元メディアによると、うなぎ関連のレシピは6万種類にまで増えたということです。
◇
一方、日本では価格が高騰しています。
うなぎにも力を入れている「吉野家」では、お得なキャンペーンも行われていました。
吉野家企画本部 石川雄大さん
「テイクアウトで事前にご予約をしていただいたお客様に限り、“10%引き”というキャンペーンを行っています」
22日までの予約で、うな重が10%引きで買うことができます(23日受け取りの予約のみ)。価格高騰の中、多くの人に「土用の丑(うし)の日」を楽しんでほしいということです。