「資金繰りの悪化」と「院長の体調不良」で… 産婦人科医院が突然“閉院”
東京・荒川区にある産婦人科医院が突然、閉院し、通院していた人たちが困っています。管轄する東京・荒川区には、通院している妊婦などから問い合わせが殺到したといいます。
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産婦人科医院のホームページには「心身に寄り添い女性のためのかかりつけ医を目指します」という理念が書かれていました。しかし、母と子への寄り添いは、突如、途絶えました。
東京・荒川区にある加藤産婦人科医院。5月8日に何の前触れもなく、閉院したというのです。普段、定期検診で訪れているという女性が様子を見に来ていました。
通院していた女性
「びっくりでしかないですね。メールでお知らせが来て閉院を知ったんですけど。メール1通だけだったので、突然なので私も動揺しているというか」
妊娠8か月の妻が通院していたという男性は、医院を直接訪ねましたが、応答はありませんでした。
妻が妊娠8か月の男性
「正直、期待はしていなかったですけど」
このゴールデンウイーク中、妻が体調を崩して電話した際にも何も応答がなかったといいます。
妻が妊娠8か月の男性
「他の病院で健診した時に切迫早産の疑いがあるということで。子どもと母親の2人の命を預かる医院として不誠実な対応だと思いますし、おかしいとは思います」
張り紙やメール、HPでのお知らせ以外、対応が途絶えてしまっていた医院。管轄する荒川区には、通院している妊婦などから問い合わせが殺到したといいます。
この事態に、救いの手を差し伸べた医院もあります。加藤産婦人科様の件についてとした上で、全ての妊婦に対応するとSNSに投稿したのは、東京・足立区にある産婦人科です。区にも正式に申し出たといいます。
待木医院 院長
「何かできることがあればと思って連絡しただけ。医師の立場からしてみると、相当な苦渋の判断があったんだろうなと。患者さんとしてはかわいそうだと思います」
閉院の理由はなんだったのか。区の聞き取りに対し、医院側は「資金繰りの悪化」と「院長の体調不良」が理由だと答えたといいます。
金銭事情について、医院に出入りしている業者は…
医院に出入りする業者
「(取引は)10年くらい。2~3か月前ぐらいから入金が遅れ始めていて。大丈夫かな?と思っていた」
東京商工リサーチによると、医院はここ数年、赤字が続いていたといい、債務超過は1億円を超えていたといいます。
院長の体調については…
妻が妊娠8か月の男性
「(ここ)1か月くらいは院長先生がいらっしゃらないことが多くて。特別何か体調が悪いとかは聞いていなかった」
すると、取材中、突如、救急隊が医院に駆け付けました。誰かが体調を崩したのでしょうか?
記者
「救急車が今、産婦人科に来ました」
妊娠8か月の妻が通院していたという男性がインターホンを鳴らした時は応答はありませんでしたが…
記者
「受け答えしていますね。病院の中に入っていきました」
結果、誰も搬送されることはありませんでした。
母と子の健康と命を守る産婦人科。今後、誠実な対応が求められます。