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【解説】「ひずみ」解消で相次ぐ地震か? トカラ列島で8日から地震頻発80年前にはM6クラスの地震も

2023年9月11日 22:00
【解説】「ひずみ」解消で相次ぐ地震か? トカラ列島で8日から地震頻発80年前にはM6クラスの地震も
今月8日から地震が頻発している鹿児島県トカラ列島。最大震度4の地震をはじめ、11日午前10時までに有感地震が287回ありました。(速報値)トカラ列島では、これまでも短期間に集中して地震がおきることがたびたびありました。この付近の地震の特徴や注意点について社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します【週刊地震ニュース

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■震度1以上は312回 関東地方でも連続地震

9月4日から10日までの期間、震度1以上の地震は、今年最多の312回ありました。

▼5日午後1時27分ごろ、茨城県つくば市と横浜市神奈川区で震度3を観測する地震がありました。震源は千葉県北西部で地震の規模を示すマグニチュードは4.6、震源の深さは72キロでした。この地震の震源である「千葉北西部」は関東でも有数の、地震の多い場所で、この地震の6分後にも、ほぼ同じ場所を震源とする地震がおきています。(最大震度2)

▼8日午後6時28分ごろ、宮城県沖を震源とする地震があり、岩手県花巻市、一関市、宮城県気仙沼市で震度4となりました。マグニチュードは5.4、震源の深さは46キロでした。

▼9日午前2時28分ごろ、鹿児島県十島村で震度4の地震がありました。震源はトカラ列島近海で地震の規模を示すマグニチュードは4.9、震源の深さは15キロでした。

■これまでも短期間に地震が頻発「トカラ列島」で

鹿児島県の屋久島と奄美大島に挟まれるように並ぶ島々は「トカラ列島」と呼ばれています。南北、約160キロの間に口之島、中之島、平島、諏訪之瀬島、悪石島、小宝島、宝島などがあります。今回、特に地震活動が活発となっているのは小宝島と悪石島の間のエリアです。

■プレートの沈む込みに伴う「ひずみ」解消で地震頻発か? 今年5月の地震多発エリアとは異なる場所

「トカラ列島」は、東側からフィリピン海プレートが沈みこんでいるため、「トカラ列島」がのっているユーラシアプレートに「ひずみ」をためます。この「ひずみ」を解消するために時々、地震が頻発すると考えられています。今年5月にも「トカラ列島」では震度5弱の地震がおきるなど活動が活発化しましたが、その時の震源は口之島と中之島周辺でした。今回の場所からは離れていて、かなり北に位置しています。

今回と同じエリアでは2021年4月にも地震活動が活発になりました。わずか1か月の間に、震度4が6回、震度3が19回、震度2が64回、震度1が176回、合わせて265回の有感地震となりました。

さらに2021年は12月にも地震が頻発し12月9日には、マグニチュード6.1のやや大きな地震が発生、悪石島で震度5強を観測して、崖崩れなどの被害も出てます。この月の有感地震は308回を数えました。

■トカラ列島近海の地震では2~3か月続いたケースも

地震の専門家で環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは「この付近の地震活動は過去の例を見ると、数日で終わる場合と消長を繰り返して2~3か月続く場合もある」と話しています。

■約80年前にM6.5の地震も 規模の大きな地震にも注意を

トカラ列島近海ではマグニチュード5以上の地震も時々発生し、マグニチュード6クラスの地震の発生もあります。1942年3月22日におきた地震はマグニチュード6.5で、鹿児島県の屋久島町や枕崎市、奄美市などで震度3を観測しました。当時は、十島村に震度観測点が無かったため震源に近い島々の震度の記録は残されていませんが、仮に現在のように悪石島に観測点があれば、震度6弱や6強の激しい揺れになったとみられます。

気象庁は、トカラ列島では、当面の間は強い揺れになる地震に十分注意して欲しいと呼びかけています。