就職先「給与・待遇」最重視ナゼ?――背景に「売り手市場」と「物価高」 “初任給アップ”続々…「優秀な人材確保へのカード」
2024年卒の学生を対象にした採用活動が1日、解禁されました。何を重視して就職先を選ぶかのランキングの1位は今年、「給与・待遇」でした。採用側もこれを意識し、初任給アップに踏み切る企業が相次ぎます。優秀な人材の獲得競争が激しくなっています。
■去年2位の「給与・待遇」トップに
有働由美子キャスター
「就活生に聞いた、就職先の企業を何を重視して選ぶのかのランキング(キャリタス就活調べ)では、1位は『給与・待遇が良い』(48.2%)でした」
「続いて『将来性がある』(44.6%)、『福利厚生が充実』(30.9%)、『休日・休暇が多い』(28.1%)、『職場の雰囲気が良い』(27.1%)という結果でした』」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「去年のランキングと比べてみます。去年は『将来性がある』が48.6%で1位、『給与・待遇が良い』は43.3%で2位でした」
有働キャスター
「去年は2位だった『給与・待遇が良い』が1位にランクアップしています」
小栗委員
「そうですね。1位が入れ替わっています。『給与・待遇』を重視する学生(の割合)が多くなった背景にあるのは、今は売り手市場になりつつあるため、学生としてもなるべく良い条件のところを選びたい。さらに最近の物価高もあると分析されています」
■メガバンクは5万円程度「初任給」増
小栗委員
「採用する企業の側も、この1位の『給与・待遇』を意識しています。全日空は1日、今年4月以降に入社する新卒社員の初任給を大卒・総合職で最大2万円引き上げると発表しました。ANAグループ各社でも、引き上げを検討しています」
「メガバンクも5万円程度引き上げるなど、こぞって初任給をアップする流れです。みずほ銀行は大卒で来年4月から5万5000円アップ、三井住友銀行は大卒で今年4月から5万円アップ。三菱UFJ銀行は検討中ですが、来年4月から同程度増やす見込みです」
■「初任給アップ」は10ポイント上昇
「リクルートワークス研究所の調査では、初任給の引き上げを『実施する』または『実施予定』とした企業は54.9%で、前年の調査より10.4ポイントも上昇しています」
「調査した中村星斗研究員は『採用競争の中で、初任給を上げることが優秀な人材を確保するための企業のカードの1つになっている』と話しています」
有働キャスター
「辻さんは会社も経営されていますが、どう見ていますか?」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「企業側の目線で言うと、スキルや経験のような能力面だけではなく、会社が大事にしている価値観や文化と合うのかという、いわゆる『カルチャーフィット』もかなり大事だなと思います」
「ベンチャーだと、例えば低用量ピルを手当で出したり、ユニークな福利厚生を作っているところも増えています。企業としての姿勢をいろいろな形で可視化していくことが、就活生の側にとっても納得感のある採用につながるのかなと思います」
有働キャスター
「今は、就職した人の3割以上が3年以内に辞めるというデータもあります。良い人材が欲しいなら、企業はどんどん今の世代の常識に合わせて変わらなきゃいけない。そんな時代になっているようです」
(3月1日『news zero』より)