正社員との格差「2.5倍」、男女格差も――「非正規」女性の苦境 “Wi-Fi契約”解除も…派遣社員「何を削れば」 新たな支援は?
非正規で働く人たちが15日に会見し、一律10%の賃上げを求め、初めて春闘の交渉に臨むことを明らかにしました。正社員と非正規の給与には大きな開きがあり、非正規の女性の多くは、経済的なゆとりがないといいます。新たな支援はどうなるのでしょうか。
■非正規の平均給与は「198万円」
有働由美子キャスター
「国税庁の調査(2021年)によると、民間の正社員の平均給与は約508万円ですが、正社員以外の非正規では約198万円で、約2.5倍もの開きがあります。この開きを見ると、『10%賃上げを』と要求する気持ちも分かります」
■「3人に2人」が経済的なゆとりナシ
小栗泉・日本テレビ解説委員
「中でも非正規の7割近くを占めているのは女性です。日本最大の労働組合組織・連合による『非正規雇用で働く女性に関する調査2022』によると、非正規で働く女性で『経済的なゆとりがない』と答えた人は約3人に2人。シングルマザーに限ると4人に3人でした」
「取材したある契約社員の斉藤さん(仮名、38)も、生活が苦しいので寒波が来るまで暖房を使わない、Wi-Fiの契約を解除してできるだけネットを使わないなど切り詰めているそうで、『さらに何を削ったらいいんだろう…』と話していました」
有働キャスター
「切実ですよね」
■正社員化を望む声は? 新たな支援も
小栗委員
「また同じ調査では、有期契約・嘱託社員の約45%、派遣社員の約38%が『非正規から正社員に変わりたい』と答えていました」
有働キャスター
「『非正規の方が働くのに都合がいい』と言う人もいると思いますが、『正社員に』という声にも、何とか応えられないかと思います」
小栗委員
「政府は既に、例えば『キャリアアップ助成金』で非正規の人を正社員にするなど、待遇を改善した企業に助成金を支給するなどしています。さらに今、新たな支援策を検討しているといいますが、どんなものなのでしょうか」
「首相周辺は『単に手当を出したり、給付するといったことではない。年収の壁をどうするか、所得税をどうするかなど、税の制度にも関わる社会全体の仕組みとして、非正規、中でも特に女性の待遇改善を後押しする方法を首相は考えている』と説明します」
「一方で『まだ、これだというものを伝えられる段階ではない』とも話しています」
■辻さん「男女格差埋めるのも課題」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「非正規雇用の賃金はもちろん、その7割が女性という偏りも本当に問題だなと思います。雇用形態に限らず、男女の平均年収の格差は年齢が上がるにつれてどんどん開き、50代後半になると倍以上の開きができます。その差をどう埋めていくのかも課題です」
「ここ最近は、若い人たちが海外にで出稼ぎに行くケースも増えています。それほど日本の低賃金は人材流出にもつながる危機的状況だなと思います」
有働キャスター
「(会見のあった)15日は、これまで声を上げられなかった人たちが声を上げた、始まりの日だと思います。日本の社会を支えている非正規の人たちの生活がままならなければ、社会も経済も良くなりません。根本の部分まで掘り下げて改善してほしいです」
(2月15日『news zero』より)