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初の「非正規」春闘 10%の賃上げどうなる?……38歳女性、時給アップ“5年で190円” 「苦しいです、助けてください」

2023年2月16日 11:00
初の「非正規」春闘 10%の賃上げどうなる?……38歳女性、時給アップ“5年で190円” 「苦しいです、助けてください」

春闘が本格化する中、非正規で働く人たちが初めて交渉に臨みます。求めるのは、一律10%の賃上げです。コールセンターで働くある女性は、5年間で時給の引き上げは190円でした。電気代とガス代の高騰が追い打ちをかけ、切実な声を上げています。

■「豊かになるのか」…経団連前で訴え

「これから非正規雇用者の私たちの生活が豊かになることはあるのでしょうか!」

15日、東京・千代田区にある経団連の前で、都内に住む契約社員の斉藤さん(仮名、38)が声を上げました。飲食店などさまざまな業種の、パートや契約社員といった非正規労働者たちとともに、賃金の引き上げを求めていました。

■12月の給料は15万円…光熱費増も

コールセンターで働いている斉藤さんは「ずっとうちの部署は大変で、だいたい1日に300件くらいかかってくるんですね」と言います。約5年間勤務しているといいますが、「(通常1か月の)稼ぎとしては18万円、19万円くらいで」と明かします。

入社直後の時給は1400円、現在は1590円。5年間で引き上げは190円のみでした。1月に振り込まれた12月分の給料は、年末の休みもあったため15万円余りでした。

そこに追い打ちをかけているのが、電気代とガス代の高騰です。1月の料金が、去年の同じ月と比べて5000円近く増えました。

「一人暮らしなんですけど、このお給料だと本当にかつかつです。やっぱり非正規雇用って立場が弱いというか、守られていない立場の人たちだな(と思います)」

斉藤さんのように非正規で働く人の割合は、総務省の統計によると労働者全体の36.9%です。

■春闘が本格化 非正規300人が交渉へ

企業と労働組合が賃金などを巡って交渉する、いわゆる春闘が本格化している中、これまで交渉に含まれていなかった非正規で働く人たちも、初めて声を上げました。

「非正規春闘2023実行委員会」が15日会見しました。交渉を行うのは、スシローやかつや、KDDIエボルバ、シェーン英会話といった、大手飲食チェーンや語学学校など33社で働く非正規の約300人です。一律10%の賃上げを要求しました。

会見で斉藤さんは「『苦しいです、助けてください、賃金上げてください』と、ちゃんと言葉にして言わなかったら、絶対何も伝わらない」と訴えました。賃上げを求める声は切実です。

■イオンとオリエンタルランドは賃上げ

こうした中、流通大手イオンは3月にも、パート従業員約40万人の時給を平均で7%引き上げます。オリエンタルランドは4月から従業員平均で約7%賃上げし、パート・アルバイトの時給は80円アップします。

こうした賃上げの動きはどこまで広がるのでしょうか。


(2月15日『news zero』より)