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最先端AI「チャットGPT」で――瞬時に「母への感謝」「口コミ返信」回答 仕事や教育へも影響か 論文や小説もOK…懸念は?

2023年2月3日 11:20
最先端AI「チャットGPT」で――瞬時に「母への感謝」「口コミ返信」回答 仕事や教育へも影響か 論文や小説もOK…懸念は?

要望を打ち込むと数秒で回答が示される、最先端AI「チャットGPT」が話題です。劇的に利便になる一方、人間の仕事を奪うとの懸念もあります。また教育現場への影響やフェイクニュース作成、犯罪への悪用も問題視されています。上手な使い方を考えます。

■マスク氏ら設立の会社がシステム開発

最先端のAI技術「チャットGPT」。東京・渋谷の若者も「すごいよな。賢すぎ!」「使います!」と思わず驚きました。

イーロン・マスク氏らが設立した会社が開発した自動会話システムで、去年11月にサービスを開始しました。

■高校生も驚き…「めっちゃ早い」

どんなことができるのか、体験してもらいました。使い方は簡単で、チャットGPTに要望を打ち込むだけです。

高校生(17)は「お母さんへの感謝の文章を書いて」と要望を入れました。すぐにスマホ画面に回答が表示され、高校生は「おー、めっちゃ早く出ました」と感嘆しました。

「あなたは私の人生において常にサポートしてくれました。そして、いつも私のことを最優先に考えてくれます」という回答でした。実際に母親にこの文章を送ってみると、「めちゃくちゃ感動」「うれしいわ」と返事が来ました。

今までになかった、自然な文章を作り出すのがチャットGPTです。

■日本企業も活用…人間の代わりに返答

この技術を利用した企業が、早くも日本にあります。「いまチカ」を2日訪ね、口コミ自動返信システムの開発責任者、伊さんに聞きました。「店に対してユーザーさんが口コミなどを書きますが、人間の代わりにAIが返答するというAIを作製しました」と言います。

飲食店への口コミといえば、「とてもおいしかったです! また行きます!」「値段が高い気がする 店内が少し寒い気が」といった声が評価点とともに寄せられ、1つ1つ丁寧に返信すれば、人件費や労力がかかっていました。

そこで開発されたのが、自動で返信してくれるシステムです。飲食店を利用したと仮定し、口コミを投稿してみました。

「とてもおいしいスープでした。でも少し冷めていて残念。次来た時はカレーに挑戦したいと思います」と送ってみました。

AIからの返信は「少し冷めてしまって残念ですが、今回はご満足いただけなかったようで申し訳ありません。次回はカレーを挑戦していただけると嬉しく思います」でした。

このサービスには、既に多くの企業から問い合わせが来ているといいます。

■アプリも…米では多くの企業が活用

既にアメリカでは多くの企業が活用していて、不動産業者が物件情報を作成するのに使っている他、インターネット業者に送るクレームの文言を考えて値下げ交渉するアプリまで登場しています。

■米の大学教授「中高でも大きな問題」

一方で、高性能過ぎるがゆえに、アメリカでは問題も起きています。ペンシルベニア大学ウォートン校のクリスチャン・ターウィッシュ教授に聞きました。

「5つの試験問題をチャットGPTに答えさせました。すると見事な文章の答えが(ありました)。数字も完璧に合っていたんです」と明かします。MBA(経営学修士)の記述試験を解かせたところ、合格点の回答が出ました。

またスタンフォード大学の調査では、学生の17%が宿題や試験でチャットGPTを活用。ニューヨーク市では、学校の端末からチャットGPTへのアクセスを禁止する措置を取っています。

ペンシルベニア大学のターウィッシュ教授は「大学だけでなく、高校や中学でも大きな問題になっています。生徒のテストについては、どうするべきか見直す必要があります」と訴えます。

■「仕事を奪う」懸念も…革新性と懸念

有働由美子キャスター
「チャットGPTは、世に出回っている膨大なデータの中から瞬時に要約した上で文章をまとめてくれるということで、例えば詩を書いてと言ったら10行ほどのものがすぐにできたり、他にも小説や論文まで作成できたりしてしまいます」

「これまでのAIより、さらに一歩人間に近づいた能力が画期的で、AI研究の第一人者である東京大学大学院の松尾豊教授は『ネットが普及する以前以後で生活が大きく変わった時と同じインパクトだ』と言います」

「ただ一方で、人間の仕事を奪うのでは、との懸念もあるそうですね」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「そうです。アメリカのニューヨークポストは、教育やジャーナリズムなどはこの高性能AIによって失われるかもしれない職業だと紹介しています。教育は先生の役割が、ジャーナリズムは記事の編集作業が、AIに置き換わる可能性があると指摘しています」

■zeroの放送は?…誤情報の恐れも

有働キャスター
「近い将来、ジャーナリストはいらなくなるということですか?」

小栗委員
「ただ、そう簡単なことではありません。AIは、あることないことが混ざった情報があるインターネットからデータを拾うため真偽不明で、フェイクニュースを流してしまう危険性を指摘する声もあります」

「実際、『news zeroはいつ放送されている?』との質問に、『news zeroはNHK総合テレビジョンで放送されているニュース番組です。放送時間は週日曜日の22:00から22:54までです』との回答でした」

有働キャスター
「いろいろ突っ込みどころがありますが、間違っていますよね」

小栗委員
「日本語翻訳の訓練がまだ十分でないことも影響しているようですが、やはり取材対象者と信頼関係を築いた上で本音を引き出す取材は、人間にしかできないですよね。また、サイバー犯罪のフィッシングメールなどに悪用されるケースも問題視されています」

■廣瀬さん「人にしかできないことを」

小栗委員
「ただ大切なのは、あくまでAIをどう正しく使うかです。松尾教授は『簡単に試せるので、日本の企業はもちろん、個人でもどんどん使ってほしい。検索結果を自分で探すことは昔話になると思う』と話しています」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「今後、人にしかできないことに注力していかないといけないなと思います。例えばみんなで集まって企画やアイデアを出すことが大事になってくるのかなと思います」

「一方で、それをどう実現していくかは、AIが膨大なデータの中からディープラーニングしてくれるのではないかなと思っていて、ある種すみ分けのようなものが今後出てくるかもしれないですね」

有働キャスター
「人間を超える、仕事が奪われるという話になりがちですが、うまく使いさえすれば良いですよね。ミスをしないのがAIの強いところだとすると、人間はミスが魅力になるので、ミスを恐れず生きていきたいなと思います」

(2月2日『news zero』より)

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