中国、突然の「ビザ発給停止」――“やり過ぎ”対抗措置ナゼ? 日韓「見せしめ」に…ゼロコロナ“失策”薄める狙いか
中国が日韓両国に対し、ビザの発給停止を通告しました。専門家や日本政府関係者も「やり過ぎだ」「ここまで厳しいとは」と驚く急展開です。今回の対抗措置は対等ではなく、欧米と差をつけている特徴があります。中国にはどんな思惑があるのでしょうか。
■「驚き」の背景に…2つのポイント
有働由美子キャスター
「中国は突然、ビザ発給停止を日本に通告してきました。なぜでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「本当に急なことで、中国に詳しい専門家たちからも、驚きの声が上がりました。神田外語大学の興梠一郎教授は『え、何と思った。日本に対してやり過ぎだと思った』。日本政府関係者も『ここまで厳しい内容だとは思っていなかったので驚いた』と話しています」
小栗委員
「なぜそれほど驚いたのかというと、対等の措置ではないことが1つにあります」
「日本と同様にビザ発給停止措置を受けた韓国は、中国人が訪韓する際の短期ビザの発給を停止していますが、日本は到着時のPCR検査など水際対策は強化しているものの、中国人の訪日ビザを制限していません。つまり、対等でない対抗措置を取ったということです」
「もう1つは、欧米と差をつけたということです。水際対策は欧米もやっていて、いずれもWHO(世界保健機関)は容認しています」
「興梠教授は『中国は力関係を見ている。欧米にも同時に措置を取ると、中国が四面楚歌になってしまう。そこで、まずは日韓を見せしめにして、他国が追従しないようにけん制した』と分析しています」
■「ゼロコロナ」の失策で…批判回避か
有働キャスター
「ただ、そこまでの対抗措置を取るのはなぜですか?」
小栗委員
「やはり中国政府自ら、ゼロコロナ政策を十分な準備がないまま急転換させ、感染者が急増していることに後ろめたさを感じています。そのなかで、他国に批判はされたくないということがあるようです」
「興梠教授は『外国に対して報復措置を取ることで、自分たちの政策は間違っていないんだと国の内外にアピールし、失策を際立たせないようにしているのだろう』とみています」
有働キャスター
「ということは、しばらく続くということですか?」
小栗委員
「中国は、日本が水際対策を止めれば対抗措置を止めるというスタンスです。ある日本政府関係者は『しばらくは続くだろう。ただ、招へい状があればビザを出すようなことはこれまでもあった。どこまで本気でやってくるか、これから見ていくことになる』と言います」
■辻さん「水際対策への報復に違和感」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「『日本の水際対策はこれで十分なの?』という声も少なくないなか、そこへの報復と言われると、やはり違和感があると思いました。こうして(中国の)国内向けアピールに振り回されてしまうと、現地駐在されている方やご家族は、本当に気が気じゃないですよね」
有働キャスター
「中国にとっても経済が急ブレーキのなか、いま日本との往来を減らすことは、自分たちの首を絞めていると思います」
(1月11日『news zero』より)