「鳥インフルエンザ」3つのギモン なぜ流行?生活への影響は?
今、猛威を振るう鳥インフルエンザ。全国で殺処分されるニワトリなどの数が1000万羽を超え、その影響は“物価の優等生”と言われてきた卵の価格などにも及んでいます。鳥インフルエンザの気になる疑問について、詳しく解説します。
■鳥インフルエンザの疑問 今回はなぜ大流行
有働由美子キャスター
「生活にもかなり影響が出てきているのですが、鳥インフルエンザについて、気になるのが次の3つのポイントです。
(1)なぜこんなに拡大しているのか
(2)いつまで続くのか
(3)感染した鳥やその卵を食べても大丈夫なのか
小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク
「そもそも、どこからウイルスが来るのでしょうか。日本野鳥の会によると、運んでくるのはマガモなどの渡り鳥です。ロシアや中国などでウイルスに感染した鳥が、本州にも、北海道にもやってくるのです。そこからどうなるのかというと…元々、日本にいた野鳥などにうつり、養鶏場にウイルスを持ち込むわけです。すると、飼育されていたニワトリに感染が広がるという流れです」
有働キャスター
「でも、渡り鳥の飛来は毎年のことですよね? 今回、どのような異変が起こっているのでしょうか」
小野委員
「北海道大学の迫田義博教授は、『ある現象に注目した』といいます。去年9月下旬に神奈川・伊勢原市で鳥インフルに感染したハヤブサが見つかったのです。ハヤブサですから、きっと感染した渡り鳥を食べて自分も感染したんだろうと…。注目したいのは、9月という時期です。渡り鳥が来るピークは10月から11月です。しかし、それより前の9月…。渡り鳥の第一陣の中に、すでにその時点で鳥インフルに感染した鳥たちが含まれていたと考えられるわけです。すると10月、11月のピーク時に飛んできた鳥たちは、すでに相当な数、多くの鳥が感染していただろうと。それが日本の中で動いて、さまざまなところにウイルスを運んだのだろうというのが、迫田教授の分析です」
有働キャスター
「ふだんより早い時期に流行したことが、この大流行につながったという…」
小野委員
「日本としては養鶏場での発生をきちっと封じ込めていれば、ウイルスはなくなりますが、他の国で対策が不十分だと、渡り鳥の間で感染が広がり日本へも来てしまうわけです」
有働キャスター
「“水際対策”は鳥の場合、できないですからね」
■大流行はいつまで… まだ“中間地点”?
有働キャスター
「そうなると、いつまで感染拡大は続くのでしょうか」
小野委員
「迫田教授によると、渡り鳥たちが日本から飛んでいけば、日本は“オフシーズン”になると。では、昨シーズンはいつ終わったか、ウイルスが最後に検出されたのは5月だったそうです。つまり、5月下旬くらいまでは要警戒。迫田教授は『マラソンにたとえると、中間地点に来たかどうかくらい。気の抜けない時期が続く』と言っています」
■感染した鳥の肉や卵は食べてもいい? もし死んだ野鳥を見つけたら…
有働キャスター
「では最後、感染した鳥やその卵を食べた場合、人間の体はどうなるのでしょうか」
小野委員
「まず、感染したニワトリは処分されますので、流通することはありません。その上で、ウイルスは胃酸に弱く、熱にも弱いと。これまで、鶏肉や卵を食べて鳥インフルに感染した報告はありません」
有働キャスター
「落合さんは、このニュースをどう捉えていますか」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「渡り鳥が運んでくる以上、水際対策はできないので、防疫を適切にやっていくしかないということと、我々、消費者としては、買ったり、食べたりして生産者の方々を応援するしかないのではないでしょうか」
有働キャスター
「それも大事ですよね。もし、みなさんの近くで野鳥が死んでいるのを見かけたら、ほかの細菌や寄生虫がいる可能性もあるので、『素手で触らない』。そして、同じ場所でたくさん死んでいる…など、不安な場合には、近くの自治体に相談してみてください」
(1月10日放送『news zero』より)