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【解説】岩手山で初の噴火警戒レベル引き上げ 何がおきている?警戒される「水蒸気噴火」とは

2024年10月2日 21:59
【解説】岩手山で初の噴火警戒レベル引き上げ 何がおきている?警戒される「水蒸気噴火」とは

秋の行楽シーズンをむかえるなか、登山で人気の「岩手山」で、火山活動が活発になっています。今後、噴火が発生するおそれがあるとして、気象庁が初めて噴火警戒レベルをレベル2の「火口周辺規制」に引き上げました。

■岩手山で噴火警戒レベル2へ引き上げ 何がおきている?

気象庁は2日午後3時、岩手県にある「岩手山」で5段階の噴火警戒レベルを、一番下の「レベル1」から、「レベル2」の「火口周辺規制」に引き上げました。岩手山で2007年に噴火警戒レベルが導入されて以降、「レベル2」への引き上げは今回が初めてです。

気象庁によりますと、岩手山では今年2月ごろから、人工衛星を使って山の膨らみなどを計測するGNSS観測で、山体の深いところが膨らむような変動が観測されていました。

さらに7月下旬以降、火山性地震が増えるなど、火山活動が高まっている可能性があるとして注意を呼びかけていました。

そして、国土地理院が先月26日に陸域観測技術衛星2号「だいち2号」を使って地表の変動を観測したデータを解析したところ、岩手山の西側にある、大地獄谷周辺で衛星に近づく変動が観測されたということです。

従来の山の深い部分が膨らむのとは異なり、地下の浅い部分で何かが膨らんでいることを示していて原因は特定できていないものの、地下水が熱で膨張し、地面を押し上げている可能性があり、「水蒸気噴火」が発生するおそれがあるとしています。

こうしたことから、気象庁は2日、噴火警戒レベルの引き上げに踏みきりました。

■10年前の戦後最悪の火山災害「御嶽山噴火」も「水蒸気噴火」

火山の噴火には、いくつか種類があります。今回、岩手山で警戒されているのは「水蒸気噴火」です。

これはマグマが地表に噴き出す「マグマ噴火」とは異なり、地下水がマグマなどにより温められて、高温高圧になることで、爆発的に噴出する現象のことです。2014年、多くの死者を出した御嶽山の噴火も、「水蒸気噴火」でした。

「水蒸気噴火」は、「マグマ噴火」と比べると規模が小さいうえマグマが地表付近まで上がってこないため、火山性地震なども少ないことが多く前兆が捉えにくいとされています。

■2015年「箱根山噴火」衛星観測データで“局地的膨張”をキャッチ

2015年、日本屈指の観光地神奈川県の箱根町でごく小規模な水蒸気噴火がありましたが、この時、噴火が発生した大涌谷でも直前に局地的な地面の膨張が確認されていました。今回と同じく、「だいち2号」がレーダーで観測したデータをもとに国土地理院が解析した結果です。

膨張がみられたのは、立ち入りが規制されていた大涌谷の半径100メートルほどのごく狭い範囲で、地面の隆起量は10センチ前後でした。

一方、岩手山では近年、噴火がおきていないため噴火の前にどのような変化がおきるのか、データが少なく予測が難しいといいます。岩手山で直近におきた噴火は、火山観測体制が整備される前の1919年のこと。この時は、山の西側にある大地獄谷付近で水蒸気噴火が発生しました。

■行楽シーズン前に…今後どうすべき?

今回、気象庁は西岩手山の想定火口からおおむね2キロの範囲で、噴火にともなって飛散する大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

岩手県など地元自治体は、1998年以来となる岩手山の入山を禁止する措置をとっていますが、気象庁は、現時点では地下深くにあるとされるマグマが上昇してくる兆候はみられず、仮に噴火がおきたとしても大地獄谷の想定火口域周辺に影響を及ぼす程度とみています。

岩手山周辺にある温泉や観光地に影響はありませんので地元自治体の指示に従って、規制範囲に立ち入らないようにしてください。

最終更新日:2024年10月2日 22:34
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