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秋篠宮ご夫妻「全国ろうあ者大会」に出席 秋篠宮さまのお言葉全文

2022年6月12日 12:33
秋篠宮ご夫妻「全国ろうあ者大会」に出席 秋篠宮さまのお言葉全文

秋篠宮ご夫妻は12日、広島市で行われた「第70回全国ろうあ者大会inひろしま」に出席されました。式典は、新型コロナウイルスの影響で3年ぶりに開催され、12日の式典には全国からおよそ2200人が参加しました。手話を交えて話された秋篠宮さまのお言葉全文です。

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【秋篠宮さまお言葉】

本日、「第70回全国ろうあ者大会 in ひろしま」が、全国各地からの参加者を迎えて開催され、皆様にお会いできましたことを大変嬉しく思います。

そして本日、厚生文化賞ならびに主管団体表彰を受けられる方々に、心からお祝いを申し上げますとともに、これまでのご尽力に対し深く敬意を表します。

広島県における大会は実に 62年ぶりと聞き及んでおりますが、一昨年と昨年の全国ろうあ者大会は、COVID-19 の影響により開催することができませんでした。

そのため、関係する多くの方々が一堂に会し、手話を用いてコミュニケーションをとり、交流ができる機会を待ち望んでおられたことと思います。

今回の大会は、「手から手へ 70年の過去、現在、未来」がメインテーマであると伺っております。

そのことを反映し、研究分科会において話し合われる「手話言語」、「国際」、「災害」そして「情報アクセス」は、過去と今大会を未来へとつなげる、時宜を得たテーマであると申せましょう。

とくに、「災害」と「情報アクセス」については、喫緊の課題だと思います。

これまで、全国の各地では、台風や豪雨、地震など、自然災害にたびたび見舞われてきました。

そのような状況下においては、聞こえない人もしくは聞こえにくい人たちは情報を入手することに困難が生じ、大変不安な時を過ごすことが多かったことと推察いたします。

災害時に誰もが等しく情報を入手し、コミュニケーションをとることができるような環境の整備は、誰一人取り残されることのない社会を築いていくために不可欠なことであると考えます。

そのいっぽうで、2018 年の西日本を中心とした豪雨の際には、聞こえない、ないしは聞こえにくい人たちが、それまでの「支援される」立場から「支援する」立場へと発想を転換させ、「ろう者ボランティアセンター」を立ち上げ被災者を支援されたと聞き、大変心強い思いをいたしました。

「全日本ろうあ連盟」は、長年にわたって、聞こえない人と聞こえにくい人の福祉向上や、手話通訳制度の充実、そして手話言語の意義と重要性の理解の促進に向け、様々な関係者と連携しながら取り組んでこられました。

そのような中で、手話がひとつの言語であることの重要性についての理解が広まり、現在では多くの自治体で手話言語条例が制定されるなど、行政と市民が一体となって、その普及に取り組まれていると伺っております。

この大会をひとつの契機として、手話言語の意義が一層理解され、自由に手話言語でコミュニケーションがとれるような環境が広がっていくことを期待いたします。

「全国ろうあ者大会 in ひろしま」が皆様にとって実り多いものになるとともに、様々な障害に対する理解が更に深まり、皆が安心して暮らせる社会が築かれることを祈念し、大会に寄せる言葉といたします。