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“藤井を負かした男”伊藤匠叡王 師匠が語る強さの原点「将棋が好きでたまらないのは才能」

2024年6月21日 20:35
“藤井を負かした男”伊藤匠叡王 師匠が語る強さの原点「将棋が好きでたまらないのは才能」

20日に藤井聡太八冠からタイトルを奪取した伊藤匠新叡王が、“運命の一局”から一夜明けた21日、喜びを語りました。そんな“藤井を負かした男”の師匠を取材しました。伊藤叡王の強さの原点とは?

   ◇

将棋界に現れた“ニュースター”、21歳の伊藤匠新叡王。

伊藤匠新叡王(21)
「『孤高』という字は、棋士になったころからよく書いている字で、ブレずに高みを目指していくと解釈している」

ブレずに高みを目指し、20日の叡王戦第5局で同学年の藤井聡太七冠(21)に勝利。初のタイトルを手にしました。

藤井聡太七冠(21日、対局後)
「伊藤さんの力を感じるところも多くあったと思う」

伊藤匠新叡王(21日、対局後)
「藤井さんを追いかけて、ここまで来られたと思っていますので。両親や師匠には感謝を伝えたい」

背中を追い続けてきた藤井七冠と両親への感謝を語った伊藤新叡王。将棋を始めたのは5歳の時。父親から将棋を教わり、のめり込んでいったといいます。

2012年、小学生の将棋大会3年生の部で撮影された写真には、準優勝の伊藤新叡王と3位の藤井七冠が写っていました。2人は当時からライバルで、伊藤新叡王に負けた藤井七冠が“号泣”したというエピソードも残っています。

それから12年。“藤井を泣かせた男”から、タイトル戦で初めて“藤井を負かした男”となった伊藤新叡王。21日朝の会見では、こんな質問も…

──師匠(宮田八段)と賞金の話は?

伊藤匠新叡王(21)
「はい。いや、そうですね。その話はまだしていないんですけど、師匠と直接会って、お話ししたいと思います」

“師匠との賞金の話”とは、どういうことなのか? 伊藤新叡王の師匠、宮田利男八段に真相を聞きました。

伊藤新叡王の師匠 宮田利男八段(71)
「プロに入るときの試験の時に、保証人の欄に名前書いて印鑑押すんだけど、その前に『名人・竜王になって賞金半分もってこい』と。そしたらケラケラと笑うと思ったら『はい』って言ったの」

師匠のどんな言葉にも「はい」と答える律儀な性格。かと思えば…

伊藤新叡王の師匠 宮田利男八段(71)
「なんとかさんに今度負けたら、三軒茶屋いちの超激辛ラーメンを食わせるからなと言ったら『はい』と言った」

一度は「はい」と言ったものの…

伊藤新叡王の師匠 宮田利男八段(71)
「実際負けたので、じゃあ(激辛ラーメン)行くぞと言ったら『今はコロナの時代だから外出は避けた方がいい』と。なんだかんだ理由つけて、うまいなこれと」

──(激辛ラーメン)行っていない?
「はい」

それでも将棋に関しては、昔から“負けず嫌い”。

伊藤新叡王の師匠 宮田利男八段(71)
「これは6歳。子どもの頃から大人には負けない、それくらいの気持ちでやっている。将棋が好きで好きでたまらないというのは、才能だと思うんですよ」

叡王戦第4局の時に師匠と伊藤新叡王が行ったやりとりでは、敗れた伊藤新叡王からの返事は短く「また次、頑張ります」。

伊藤新叡王の師匠 宮田利男八段(71)
「妙に辛抱強い。結局あのレベルになると、辛抱強いほうが勝つ」

その言葉通り、最終局も最後の最後まで繰り広げられた同学年の「熱戦」。

伊藤匠新叡王(21)
「きのうの将棋は、最後まで優劣のはっきりしない“熱戦”を見せることができた。将棋界を盛り上げていけたらと考えている」

将棋界を盛り上げるため、新叡王はさらなる“高み”を目指します。