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【血栓や血圧に要注意】大きな災害で「エコノミークラス症候群」など増 高血圧対策は?

2024年1月5日 20:25
【血栓や血圧に要注意】大きな災害で「エコノミークラス症候群」など増 高血圧対策は?

大きな災害が発生すると、「エコノミークラス症候群」をはじめとする、さまざまな循環器疾患が起こりやすくなると言われています。そこで、中京テレビ「キャッチ!」コメンテーターの柴田玲先生(名大病院医師・総合内科専門医)に、高血圧の人が避難所生活で気を付けることについて聞いてみました。

Q:災害発生時に血圧が高くなる原因は?
柴田:避難所生活や余震が続くことに対する精神的ストレス、生活リズムの乱れが大きく関わっています。交感神経の働きが強くなるので、体から塩分を排出する機能が低下し、血液中の塩分が増えて血圧が大幅に上がってしまうのです。さらに、脱水や日中の活動量低下などが重なることで、血栓ができやすくなり、災害時の高血圧や脳卒中、心筋梗塞の増加につながっています。

Q:避難所生活での高血圧対策は?
柴田:日中に体を動かして血栓を予防し、その疲労感で夜は少しでも眠れるようにすることが大事です。食事に関しては、1日1食しか食べられないような状況ではしっかりと食べたほうがよいですが、十分に食料が確保できるようになってきたら、周囲に高血圧であることを伝え、塩分摂取を減らす必要があります。というのは、災害時には「食塩感受性」が高くなり、同じ量の食塩を摂取しても、体内に食塩が蓄積して血圧が上昇しやすくなります。

また、避難所や仮設トイレの環境だとトイレを我慢してしまう傾向がありますが、トイレを我慢すると水分摂取も我慢してしまい、脱水など病気のリスクになります。難しいと思いますが、水分摂取を心がけてトイレを我慢しないことも重要です。

災害時は血圧の変動が大きいのに関わらず自覚症状はありません。震災から数日経過すると避難所に血圧計が置かれることが多いので時々測定しましょう。上の血圧が3日連続で140mmHgを超えた場合は、現場の医療スタッフに相談してください。

Q:現在、薬を内服している人の対応は?
柴田:持病のある人は薬を継続することが重要なので、常備薬を持ち出せなかったり、飲んでいた薬が分からなくなった場合は、医療スタッフに相談してください。熊本の地震以降、おくすり手帳があれば、後から処方箋を書いてもらうことを条件に薬局で薬を受け取ることができるようになっています。お薬やお薬手帳を避難時に持ち出せなかったとしても、安全が確認されるまで決して自宅に取りに帰ってはいけません。

Q:自分で血圧測定する際の注意点は?
柴田:可能であれば、手首ではなく肘で測定する機械を使用してください。手首での測定は誤差が大きいため、高血圧学会でも推奨はしていません。測定の際は「機械本体が心臓と同じ高さ」になるように合わせて測定してください。本体が心臓より低い位置で測定した場合は値が高く、心臓より高い位置で測定した場合は値が低く出る傾向があります。測定のタイミングは、起床後1時間以内の朝食前、または寝る前。1度につき2回測って平均値をとるとより精度が高くなります。

Q:高血圧の目安となる数値は?
柴田:140/90mmHg以上が高血圧、160超えると中等度、180を超えると高度の高血圧で危険水域と言えます。寒くなると血圧は高くなりがちなので要注意です。

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