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老舗しょうゆ蔵を支える若き双子姉妹 性格は真逆でも…強力タッグ 三重・伊賀市

2024年1月16日 19:53
老舗しょうゆ蔵を支える若き双子姉妹 性格は真逆でも…強力タッグ 三重・伊賀市
姉・伶実さん(右)と妹・志季さん(左)

三重県の西部、伊賀市の山あい。豊かな自然に囲まれた場所で作られているのは、"おかずのようにうまい"けれど"箸では挟めない"ことが由来のしょうゆ「はさめず」です。

創業およそ130年。原料となる大豆と小麦を合わせて「麹」を作り、杉の木桶でじっくりと熟成した、創業当時と変わらない製法でつくられる、スッキリしたうま味と控えめな塩分が特徴のしょうゆです。

明治時代からの老舗ですが、およそ1年前からフレッシュな2人が仲間入りしました。この家の双子の娘、川向伶実(かわむかいれみ)さんと志季(しき)さん姉妹。姉・伶実さんは理系出身で製造や品質管理を、妹・志季さんは文系出身で販売や営業を担当しています。

双子の母・川向美香社長:
「まだ入って2年経っていないんですけど、営業も回り始めているし、品質管理も細かいところがやれていなかったのがやれてきているので」

売り場に立つことも多い妹・志季さんは、お客さんのニーズに合わせた商品販売が得意。海外に拠点におくバイヤーとのオンライン商談でも、しょうゆの魅力をしっかりアピールしていました。姉の伶実さん曰く、"お上品な感じのニコニコスマイル"が志季さんの武器なんだとか。

一方の伶実さんは、芯が強くて流されない職人気質な性格。蔵や麹の知識では誰にも負けません。

姉・伶実さん:
「うちではこのキリン式搾り機という非常に珍しいものをつかって圧搾しています」

大豆を熟成させた「もろみ」を麻袋に入れ、上から圧力をかけることでしょうゆを絞りだす昔ながらの搾り機。現存するものは日本でも数少ないというこの機械をはじめ、ほとんどの道具が創業当時から使い続けているもの。蔵全体が、国の登録有形文化財に指定されています。

伝統的な道具や製法は変えない一方で、伶実さんの発案により温度管理はデジタル化。数値として残すことで、よりよいしょうゆを長く作り続けたいのだといいます。

姉・伶実さん:
「ここは麹室といって麹を育てる場所なんですけど、今年からチャレンジしているのが温度と湿度の管理。遠隔でどこにいても確認できるようにしたいと思って導入しました。手間だと思ったことは不思議となくて、むしろ楽しんでやっています」

歴は浅くても、誰よりも深くしょうゆ造りを愛する伶実さん。愛が強すぎて、麹菌を観察するための顕微鏡を購入。

姉・伶実さん:
「買っちゃった、勢いで買っちゃったやつですね…ふふふ。塩水につけた麹から麹菌をとって、それを見ていました。麹もいろいろ形があるので、いいやつ見つけたら志季を呼んで『ちょっとみいや』みたいな。よく見ると手みたいな感じなんですよ。こういう感じ。ここがくっきりこうなってて外殻がはっきりしているというか…」

同じ時期に家業に入ることを決意したのには、キッカケがありました。

妹・志季さん:
「大好きなおじいちゃんが亡くなってしまったことが一番大きなきっかけだったと思います」

姉・伶実さん:
「私たちの心の支えであり大きな目標だったので、そういった存在になるためにも、この会社にいないといけないと思いましたし」

"大好きなおじいちゃんの蔵を今度は私たちが守りたい"。誰に言われるでもなく、自然と2人とも、そう感じたのだといいます。

双子の母・川向美香社長:
「まさか2人が本気でやってくれると思っていなくて。苦労させない方がいいのかなとも思ったりもしていた。昔ながらの醤油屋さんでありながら、今の時代にも合うような醤油屋さんになってもらうのが一番いいのかなと思っています」

妹・志季さん:
「もっともっと知ってほしいなって思ったんです。私が外に出て行ってこの蔵の魅力をたくさんの方に伝えていきたい」

姉・伶実さん:
「2人で協力して、魅力的な蔵って何だろうというのを追求していきたい」

1月からは、志季さんが考案し伶実さんが案内役を務める、蔵の見学などができるツアーも開催。家業を支える若き双子姉妹は、新しいことをどんどん始めているようです。

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