体育館が全焼するまさかの試練に直面 練習場所を失った体操競技部 インターハイをかけて県大会出場へ…!
練習できて当たり前だった環境は、ある出来事で一変しました。名城大学付属高校の体操競技部が直面した、まさかの試練とは…?
練習場所を失った体操強豪校 救いの手を差し伸べたのは…
5月、あるスポーツ施設を訪れると、あん馬の上で体を回したり、床で宙返りをしたりする高校生たちがいました。練習していたのは、団体戦で9年連続インターハイに出場の名城大学付属高校・体操競技部です。
しかし、部員たちが練習していた施設は、高校の体育館ではありません。
去年10月23日午後8時ごろ、名城大学付属高校の体育館で火事が発生。激しい炎が吹き上がり、あたり一帯が黒煙で包まれました。体操競技部の顧問・西村先生は、当時の状況をこのように振り返ります。
体操競技部 西村隼顧問:
「火の海の状態の体育館を目の当たりにして、とっさに助けに行こうと思って階段上がったくらいまで行ったんですけど、熱と煙で入れるレベルじゃなかったんで、持ってたスマホで片っ端から部員探して、『頼むから出てくれ!』って祈る感じで。もう生きた心地がしなくて」
火事が起こる直前まで体操競技部も活動していましたが、出火当時、部員たちはすでに下校するなどしていたため全員無事でした。約5時間後、火は消し止められたものの体育館は全焼。部員たちは練習場所を失ってしまったのです。
移動のため練習時間が減ってしまうなど、これまでとは全く違う状況の中、団体戦で10年連続のインターハイ出場を目指し、連日場所を移動しながら練習に励んできました。
ひたむきに練習を続けた部員たち 「支えてくれた人たちへの“恩”を演技で返したい」
顧問の西村先生は火事の後、部員たちに“ある変化”があったといいます。
体操競技部 西村隼顧問:
「毎日違う(練習)場所なので、そういう対応力とか器具に合わせる力は本当に身に付きましたね。精神的にも成長して、一回りも二回りもたくましくなったな」
支えてくれた人たちへの“恩”を演技で返したい。部員たちには、そんな思いもあるようです。体操競技部を引っ張る3年生の伊藤大空キャプテンも、県大会に向けて、このように意気込みを語っています。
体操競技部 伊藤大空キャプテン:
「(他校などは)試合ではライバルなんですけど、練習会場で会った時にお礼を言うと『全然いいよ』って言ってくれるので、演技で返したいです」
火事から7か月。体育館が全焼し、練習場所を失っても、ひたむきに練習してきた名城大学付属高校の体操競技部が県大会に臨みました。結果は見事、団体で優勝。10連覇を達成し、インターハイの出場を決めたのです。インターハイは7月、福岡県で開かれます。