20年ぶり“世代交代”新紙幣に行列も… 「Aの1番」の行方は…深谷市長が日銀へ
20年ぶりとなる新しい紙幣が3日に発行され、新紙幣への両替が始まりました。まさに生まれたての新紙幣。初日は、誰のもとに行き、何に使われたのでしょうか。取材しました。
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7月3日は“時代の転換期”。20年ぶりに“新たな顔”に生まれ変わった新紙幣を求めてごった返した各地の銀行。
40代(さいたま市)
「昔、銀行員だったんですけど、新札初めてなので…すごい」
小学4年生(さいたま市)
「自分も仲間に入れたというか、もっとお金に興味を持ちました」
“キャッシュレス”の時代に、あえての現金ですが、その初対面は喜びもひとしお。10枚の新紙幣を手に入れた大学生は…
大学生(さいたま市)
「すごく1万円が神々しく見えます」
その感動を、家族にもおすそ分け。
「1000円札だよ、びっくり。君が生まれた年の紙幣だよ」
“新紙幣と同い年”、生まれて4か月の赤ちゃんは、お札を口に…。ありがたみを知るのは、まだまだこれからのようです。
「こっち(旧札)を知らずに育つから、そう考えると不思議ね」
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“世代交代”した日本の紙幣。初日の3日は、約1兆6000億円分が全国の金融機関へとわたりました。
全国各地の“ゆかりの地”も、3日は“新札フィーバー”。
「新1000円札」の顔、細菌学者北里柴三郎生誕の地、熊本県小国町。人口6300人ほどの小さな町に“人気者”のくまモンが駆けつけ、ご高齢の方々から小さな子どもまで、地元の“偉人”をお祝い。
駆けつけたのは「人」と「キャラクター」だけではありません。普段は、過疎地などを巡る地元銀行の「移動店舗車」も“特別出動”。両替に100人以上の行列ができました。
──新1000円を手に入れたら?
朝8時から並んだ小国町民(3日午後)
「飾ります。仏様に飾ります。パチンコには持って行きません」「冥土(めいど)の土産、冥土(めいど)の土産」
くまモンも新紙幣に興味津々な様子でした。
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東京生まれの教育家、「津田塾大学」の創設者、津田梅子。
「新5000円札」の顔にちなんで行われたのが、5000メートルリレー。津田塾大学の学生たちが200メートルのグラウンドを25周してバトンをつなぎました。
リレーには先生も参加しましたが、学生からは「先生疲れている、がんばれー」の声が…。バトンを落としたり、転倒したり、ハプニングが続出。アンカーはゲストとして招かれたアスリート対決。(元サッカー日本代表・岩渕真奈さん、レスリングリオ五輪金メダリスト・登坂絵莉さん)
“真夏日”となった都内で、熱い戦いが繰り広げられました。(東京都心最高気温33.3度)
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“新紙幣の発行”に伴い、ひっそり消えゆくものも…。1984年から約40年間、「1万円札の顔」として日本経済を見つめてきた福沢諭吉。
その出身の地、大分県中津市では…
「また諭吉さんの復活を願っています」
市民には惜別の思いがあふれる一方、市内にあるみやげ物店は…
──「お札せんべい」はどうなる?
「今後も売ります。2人がコンビになっていて、上が福沢諭吉先生で、下が渋沢栄一さんのです」
「天は人の上に人を造らず」という言葉がありますが、「福沢せんべい」の下に新たにつくった「渋沢せんべい」をセットで販売する“商い上手”。
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その新たな「1万円の顔」、実業家・渋沢栄一の出身地、埼玉県深谷市はイベント準備で大忙し。ただ“悩みごと”も…。
埼玉・深谷市 渋沢栄一政策推進課 塚越稔課長
「若い番号を日本銀行さんに要望を出したところですが、いまだにお返事がないのでやきもきしてる感じ」
市役所に新1万円札を展示する予定の深谷市。そこで動いたのが、なんと深谷市長、その人。
深谷市 小島進市長(東京・中央区)
「午後、日銀に行きます。A1(えいいち)~」
求めるのは、名前の栄一になぞらえた「Aの1番」の新紙幣。自ら“直談判”するというのです。『news every.』は特別に同行させてもらいました。3日午後、日本銀行へと“出陣”した深谷市長。
市では、数百万円の展示ケースを準備済み。あとは名前になぞらえた「Aの1番」の新紙幣を飾るだけの状態です。
深谷市 小島進市長
「期待しちゃってるんだろうね。おそらく日本で一番盛り上がってる」
車に乗り込み、いざ勝負。
深谷市 小島進市長
「本当にテンション爆上がり」
しかし、日銀にたどり着く前に“悲報”が届くことに…
深谷市 小島進市長
「ちょっと残念。欲しかったよ…Aの1。6番目」
記者
「“エーロク”さんか」
深谷市 小島進市長
「Aの6番だよ」
深谷市に贈呈される紙幣は「Aの6」。「A1」は貨幣博物館に贈られ、願いは届きませんでした。
その後、日銀から出てきた深谷市長。
深谷市 小島進市長
「予想通り6番です。あとは市民の方に謝って、みんなと一緒にお祝いします」
──A6もいいと思います。
深谷市 小島進市長
「そう思う? よかった」
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列島が沸いた“新紙幣フィーバー”。その一方で注意点も。
日本銀行は、新紙幣発行後もこれまでの紙幣は今まで通り使えるとして、詐欺行為には注意するよう呼びかけています。