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賛否両論の“ライドシェア解禁”、安全面重視のシステム構築が課題…タクシー会社「本当に安全な運行ができるのか」

2023年10月24日 17:01
賛否両論の“ライドシェア解禁”、安全面重視のシステム構築が課題…タクシー会社「本当に安全な運行ができるのか」

深刻化する「タクシー不足」の解決策として、急浮上している「ライドシェア」。すでに海外では一般化しているサービスだが、日本では安全性の確保や保障ルールの設定など整備すべき課題が多い。タクシー会社や専門家、街の人々など、さまざまな立場が考える“ライドシェア”の必要性とは?

タクシー不足の解決案に急浮上!“ライドシェア”とは?

人気観光地をはじめ、全国各地で深刻化する「タクシー不足」。観光客やアルコールを伴う飲食の復活、運転手高齢化によるドライバー不足など原因はさまざまだ。そんな状況を解決するべく、デジタル庁・河野太郎大臣が提案しているのが「ライドシェア」という新サービスの導入。「ライドシェア」とは、一般の人が自家用車を使用し、有料で人を運ぶサービスのこと。アメリカなどでは「Uber」、中国では「DiDi」などスマホアプリを通して、すでに一般化されているサービスだ。

日本でも普及が進めば、タクシー不足の解決に大きな効果が期待できるが、安全性の確保など課題の多さから導入を懸念する声も多い。街の人々からは「(タクシー不足で)困っているいる人もいるし、便利なので良いと思う」、「ドライバーがどんな人か分からないので、少し怖い」などさまざま意見が寄せられている。

タクシー会社「本当に安全なのか検討してほしい」

「(ライドシェアは)本当に安全な運行ができるのか。人命を乗せて我々は運行しているので、本当に安全なのかきっちり国の方で検討していただきたい」と話すのは、岐阜県高山市にある「山都タクシー」佐古徹社長。タクシー会社では、運輸局の指導の下、二種免許を取得した者が運転を担当。運行に関しては、国家資格のある運行管理者の設置、整備管理者を認定するなど、利用者の安全を確保するために様々な規定が設けられている。

一方、ライドシェアでは、「普通免許」で運転が可能、運転技術の基準はとくに設けられておらず、事故発生時は個人が対応する形となっている。タクシー会社と大きく異なる基準に、佐古社長は「我々はモノではなく、命を運ぶ仕事をしている。その命を守る方法に関して、きっちりエビデンスをとって運行していかないと危ないと思う」と人を乗せた運転を担う責任の大きさを述べた。

運賃のルール設定も重要な課題だ。海外のライドシェアでは、ドライバーが運賃を自由に設定することができる。しかし、日本のタクシー会社では、運賃は許認可制度のもと運行をしている。海外と同様の運賃システムが起用された場合、タクシー会社が倒産してしまうほどの“価格破壊”が起きてしまう可能性があるのだ。

主流ではなく、“補完”として取り入れるべきシステム

様々なルール設定が重要となるライドシェアだが、導入の時間帯や使用する割合などにも注意が必要だ。公共交通政策に詳しい、名古屋大学の加藤博和教授は、安全面を重視し、「(ライドシェアは)補完的な形としては普及する可能性はあるが、主流になることは避けるべき」と話す。タクシーが不足する時間帯は、通院目的に高齢者の利用が増える朝と、飲食後の帰宅者が増える夜。例えば、この2つの時間帯のみを対象にライドシェアを導入することで、主流ではなく、“補完”という立ち位置を明確化することもできる。

続けて、「タクシーだけでなく、バスや鉄道などもどのように運営して、地域全体で移動手段を確保していくか、(行政が)主体的に関わる必要も出てくるのでは」と、公共交通の利用と運営に関して、街全体で取り組む必要性を述べた。

“日本ならでは”のルール設定が重要

中京テレビ「キャッチ!」のスタジオでも、ライドシェアを“利用したことがある人”と“利用したことがない人”で、ライドシェアに対する印象が大きく分かれた。関西学院大学特別客員教授で、キャッチコメンテーターの小西美穂さんは数年前に訪れたロサンゼルスでライドシェアを利用。現地でよく利用しており、「(ライドシェアは)待ち時間が少ないので、“待ち時間がある”というストレスが全然ない。事前に利用料金も分かるし、領収書もメールでくれる。カーナビもあるので、間違った道に進む心配も少ない」と自身の経験と共に利便性の高さを評価。一方、利用経験のない恩田アナウンサーからは「日本にはないシステムなので、不安の方が大きい。(目的地に必ずたどり着ける)保証のない人に乗せてもらって、ちゃんと目的地に到着できるのだろうか」と心配の声も寄せられた。

タクシー会社や専門家、街の人々から、さまざまな意見が寄せられるライドシェアの解禁案。安全面の確保や運賃設定、導入する割合など整備しなければいけない課題は山積みだ。しかし、導入が実現したら、私たちが直面する"タクシー不足"を解消する可能性は十分にある。
すべての人々が安全に長く利用を続けられるように、海外のルールを参考に、“日本ならでは”のルール設定を一つ一つ慎重に決めていくことが必要だ。

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