飛騨高山の定番土産「さるぼぼ」 職人“半減”で在庫不足のピンチ 岐阜・高山市
飛騨地方の定番土産「さるぼぼ」が、入荷に苦労する事態になっているようです。一体、何が起きているのでしょうか?
さるぼぼが足りない! 飛騨高山で何が…?
観光客も戻り、売り上げは好調だといいますが、店ではある悩みがあるようです。
店の責任者:
「例えば大きいのはしばらく待たないと入ってこない。ネットで注文が入ると期限が限られるので、ものすごく苦労してますね」
なんと、さるぼぼが仕入れられないというのです。一体、何が起きているのでしょうか。さるぼぼを製造する会社「オリジナル」を訪ねると、倉庫に置かれた段ボールはまばら。中には、在庫が残り少ない商品もありました。
オリジナル 中澤淳社長:
「さるぼぼは、岐阜県内の内職さんに手作りで作っていただいてるんですけど、コロナで仕事を振れなかったことがあったので、(内職さんが)すごく激減してしまっているという状況です」
さるぼぼ作りは、製造会社が内職と呼ばれる職人に材料を渡し、それぞれ順にパーツを作って、その完成品を会社が買い取る仕組みになっています。
しかし、コロナ禍でお土産の需要が減少。仕事がなくなったことで職人がさるぼぼ作りから離れ、10年前に比べて半分ほどに激減してしまったのです。そこへインバウンドで需要が戻ってきたことも相まって、製造が追いつかない状態だといいます。
内職歴約40年の南さんによると、さるぼぼ作りで特に難しいのが手足に綿を詰める作業。新人は難しい工程につまづいて、そのまま諦めてしまうこともあるといいます。
さるぼぼの内職 南絹枝さん:
「カチカチに綿を詰めないかんし、なかなか大変やと思いますよ、慣れるまで。(内職が)高齢者ばっかりになっているから、若い人にもうちょっと頑張ってもらいたいと思うけど、それにはどうしたらいいかってのは難しいですね。全部やろうと思うと大変だから、この部分だけやりたいってことでもいいと思います」
「メイドイン飛騨」へのこだわり 作り手を増やすため“新たなさるぼぼ”を開発
分業制で、ひとつひとつ繊細な作業が必要な「さるぼぼ」は、地元での手作りにこだわっています。
オリジナル 中澤淳社長:
「お土産として買われている方が多いので、高山に来て作られているものが海外産だと、ちょっと寂しいんじゃないかと」
“メイドイン飛騨”にこだわり、中澤さんの会社を含めた3社で、20年ほど前に組合を立ち上げブランド化してきました。
「飛騨のさるぼぼ」を守りたいという思いで、中澤さんはこれまで、作り方を動画にするなど試行錯誤してきました。少しでも作り手を増やそうと、7月からは新商品「福々さるぼぼ」の製造もスタート。柔らかい素材を使うことで、最も難しい手足の綿入れの工程を簡単にしたのです。
オリジナル 中澤淳社長:
「昔ながらの伝統的な形はこれから先もずっと残していくべきだと思っていますが、作り手さんも作りやすくて、さるぼぼを作るのに入りやすいようなものとして、こちら(福々さるぼぼ)もあるかなと」
「手作り」を守りながらも、職人の人材確保に向けてアピールを続けます。