香川県「年明けうどん」にピンチ…小麦価格が高騰 閉店相次ぎ
うどんの消費量日本一の香川県。4日、高松市にあるうどん店「情熱うどん わらく」を訪ねると、午前中から満席状態でした。年明け早々、客が食べていたのは、ただのうどんではありません。「年越しそば」ならぬ「年明けうどん」です。
香川に帰省した人
「(今年)うどんは3日目。(今月)2・3・4日、毎日、食べている。年末は、バタバタしていたので食べられなくて、年始食べに行こうという感じ」
この店舗では明太(めんたい)の赤にネギの緑、卵の黄色と色鮮やかな「明太子釜玉うどん」を年明けうどんとして15日まで提供しています。ただ、この“ソウルフード”にピンチが訪れています。
情熱うどん わらく 長尾健二オーナー
「原材料の値上げが大きい課題。小麦粉は、2020年からだいたい(仕入れ値が)20%ぐらい上がっています」
うどんを作る上で欠かせない小麦が高騰しているのです。
国内の小麦の約9割を占める輸入小麦は、毎年4月と10月に価格が決められています。農林水産省による輸入小麦価格推移では、2020年10月から半年ごとに右肩上がりとなる状態が続いており、わずか2年で1トンあたりの価格が7割ほど上がっています。
(※1トンあたりの価格 2020年10月:4万9210円 → 2022年12月:7万2530円)
情熱うどん わらく 長尾健二オーナー
「高くなったなという感じ、やっぱり。これは仕方ないかなと思いますね」
この店では、去年まで値上げせずに営業してきましたが、4日から一部商品を10円から40円値上げして販売しています。
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また、「本場さぬきうどん協同組合」によると、多くのうどん店がコロナ禍で客足が減少し、香川県内のうどん店の少なくとも30店舗がここ数年で廃業したといいます。
香川県でうどん店の閉店が相次ぐ中、“新たに”生まれ変わったうどん店もあります。高松市にあるパン屋「ぱぱぱーん」は元々、うどん店でしたが、コロナ禍で夜の集客が見込めないことから、パン屋に変わったといいます。朝から夕方に営業時間を絞って、手作りのパンを提供しています。
購入客
「前、うどん屋さんだった時、来てて。パン屋さんに変わって、時々(来る)。いろんな種類のパンがあって、来ています」
客足は以前より増えましたが、うどんの原材料と同じ小麦を使っているため、これ以上の小麦の値上げは厳しいといいます。
さぬき麺業 香川政明社長
「今までも企業努力ということで、いろんなことやっているんですけど、どうしても仕方なければ、価格転嫁になると思います」
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“うどん県”に影響をおよぼす輸入小麦の価格高騰。小麦は私たちの生活にも欠かせず、今後の価格動向が注目されます。