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劇場が“博物館”に!? パンダの「ランラン」と「カンカン」がやってきた! 絶滅危惧種を考える子ども向けバレエ公演

2022年7月28日 22:18
劇場が“博物館”に!? パンダの「ランラン」と「カンカン」がやってきた! 絶滅危惧種を考える子ども向けバレエ公演
ペンギン 撮影:鹿摩隆司

27日から始まった新国立劇場バレエ団「こどものためのバレエ劇場」。劇場には博物館さながらにパンダやトキの剥製などが展示され、バレエ公演の前には、絶滅の危機にある動物たちについて考えるトークショーが行われました。新国立劇場バレエ団にとって初めての科学と芸術をコラボレーションさせた公演となりました。

東京・渋谷区にある新国立劇場では、27日から「こどものためのバレエ劇場」として、絶滅した動物が登場する作品「ペンギン・カフェ」が上演されています。コミカルな音楽と着ぐるみが多く登場する作品ですが、「環境問題を考えるきっかけにして欲しい」と、公演の前には獣医師・成島悦雄さんによるトークショーが行われました。会場では子どもたちが元気よく質問に答える声や笑い声も聞こえ、いつもとは違う雰囲気で開催された公演の様子をお伝えします。

■劇場に「ランラン」「カンカン」がやってきた!

劇場内に展示されていたのは、ジャイアントパンダの「ランラン」と「カンカン」、トキの剥製などです。実は今年、「ランラン」と「カンカン」が日本にやってきて50年。当時、獣医師・成島さんは、上野動物園で働いていたことから、今回劇場にやってくることになりました。

成島さん
「当時、パンダについてかわいいイメージはありますが、ほとんどの人がみたことがないまさに“幻の動物”でした」

動物園の人気者・ジャイアントパンダは「絶滅危惧種」です。「絶滅危惧種」とは、絶滅した生き物、あるいは絶滅の一歩手前まで数が少なくなっている生き物で、世界では4万種を超える生物が絶滅危惧種だといいます。

■ペンギンの“元祖”は絶滅…私たちに出来ることは?

上演された作品「ペンギン・カフェ」の主人公は「オオウミガラス」。大西洋に生息していた原初のペンギンで、人間による乱獲と自然災害が原因となり、絶滅してしまった経緯が紹介されました。また、日本でも「トキ」が絶滅してしまっており、成島さんからその後の保護活動についても語られました。

成島さん
「1種類の動物が絶滅すると、関連して数十種類の動植物も絶滅してしまいます。トキに寄生するダニの仲間『トキダニ』もトキの絶滅と共に絶滅してしまいました」

1年間に絶滅する種は1975年以降に急増しているということで、両生類は3種類に1種類、ほ乳類は5種類に1種類が絶滅危惧種だといいます。

成島さん
「いま絶滅の危機にある動物や植物は、将来、病気を治す薬の原料になるかも分からない、家畜の原種になるかも分かりません。私たちは、命のつながりを守っていかなければならないのです。

私たちに出来ることは、相手をよく知ること。図鑑をみても動物園や博物館にいってもいいでしょう。また、リサイクルに協力し、無駄なエネルギーを使わないようにする。私たちが1日に使うエネルギーは、体重が4トンもあるゾウと同じだともいわれています。日本には1億3000万頭のゾウが暮らしているのと同じ状況です。丁寧でエコな生活を心がけてください」

■新たな視点でバレエを楽しむ

トークショーの後は、新国立劇場バレエ団のダンサーらによる「ペンギン・カフェ」が上演されました。

バレエ団は科学的な視点をおりまぜた公演を企画したことで、「普段バレエを見ない人にも楽しんでもらいたい」と話しています。

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