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スマホ契約で「マイナカード」必須に?……政府「国民を詐欺から守るため」 保有率73.8%…ない人は?【#みんなのギモン】

2024年6月21日 11:06
スマホ契約で「マイナカード」必須に?……政府「国民を詐欺から守るため」 保有率73.8%…ない人は?【#みんなのギモン】
政府はスマートフォンなどの契約時の本人確認を強化するため、マイナンバーカードなどのICチップを読み取るよう事業者に義務付けることを決めました。なりすましによる犯罪などを防ぐ狙いです。ただ、保有率は7割ほど。どんな対策がとられるのでしょうか?

そこで今回の#みんなのギモンでは、「マイナカード“携帯契約”必須に?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●いつから? なぜ? 持っていない人は?
●保有率7割 今後どうなる?

■政府方針に評価も疑問も…街の声は

小野高弘・日本テレビ解説委員
「今、かなり話題になっていますよね。スマートフォンなどを契約する際の本人確認を強化しようと、今後マイナンバーカードなどを必須にしていく方針を政府が決めました。ただ、疑問がたくさん湧いてきます。街で、この話の印象を聞きました」

マイナカードありの80代
「知っていることは知っている。提出って言われれば提出するわね。あんまり、良いも悪いもよく分かってないのよ。年寄りでも、そういうのに慣れていかなくちゃいけないなって」

マイナカードありの30代会社員
「カード1枚でそれ(個人情報)全部だったら、ちょっと怖いなって」

マイナカードなしの60代
「ガラケーしか持ってない。しかもそれも、通話しかできない。それ以外のことはタブレットとかパソコンがありますから。今日もタブレット」

マイナカードありの60代パート
「世の中そうやってやっていかないと大変だと思うので、私はいいと思いますけど。(カードが)信用できるものっていうのか、これでしかチェックできないっていうことにならないといけないのかなと思います」

マイナカードありの20代学生
「(本人確認の)管理が楽になるのはいいことだとは思うんですけど、個人情報の流出とかがなければいいかなとは思います」

■桐谷さん「ドキッとする気持ちも」

小野解説委員
「皆さん思いはそれぞれでした」

桐谷美玲キャスター
「必須化って言われると、ちょっとドキッとする気持ちもありますね」

森圭介アナウンサー
「マイナカード自体は任意ということでしたからね。便利ではありますけども、任意だったものが携帯の契約に必須となってしまうと、『あれ?』って思う人がいるのはしょうがないかなと」

鈴江奈々アナウンサー
「便利になる大前提として、セキュリティがしっかりしてくれていないと困るなというのはありますよね」

忽滑谷こころアナウンサー
「私はちょっと面倒くさがり屋なので、さまざまな手続きがマイナカードで一本化できるのはありがたい、便利だなとは感じます」

小野解説委員
「マイナカードが義務になっていくのかなと疑問に思うところですが、詳しく見てみます」

■ICチップ付きの運転免許証もOK

小野解説委員
「考えられる場面としては、対面で携帯電話やスマートフォンなどを契約する時です。携帯ショップやメーカーのストアが多いでしょうか。この時必ず行われるのが本人確認です。これまでどうやっていましたか?」

森アナウンサー
「免許証を出していましたね」

小野解説委員
「今後は、この本人確認の方法をマイナカードがついているICチップの読み取りでやろうということです。それを事業者に義務付けることを政府が決めました」

忽滑谷アナウンサー
「ICで読み取るということですが、マイナカード『など』というのは、他のものでも使えるんですか?」

小野解説委員
「ICチップが付いた運転免許証や、外国人の方の在留カードもOKとしています」

鈴江アナウンサー
「マイナカードだけではない、ということなんですね」

小野解説委員
「そうです。事業者への義務付けとなっていますが、契約するのは私たちなので、実質的に私たち消費者にも降りかかってくる話になります。誰もがこのシステムを使えるように、政府は、ICチップの読み取りに必要なアプリの開発も検討していこうということです」

「また最近増えているのが、対面ではないスマホなどの契約です。この場合の本人確認はやったことありますか?」

桐谷キャスター
「スマホじゃないですけど、何か契約する時に免許証や保険証の写真を撮って送るというのはやったことがあります」

小野解説委員
「健康保険証や運転免許証の画像を送る方法も広く行われていますが、今後はこれを廃止し、マイナカードに原則として一本化していくことが決まりました。マイナカードにあるICチップの読み取りと暗証番号の入力で個人を認証していくということです」

■十分な準備期間を確保した上で実施へ

桐谷キャスター
「話題になっていたのでいろいろ気にして調べるなどはしていたんですけど、実際いつから始まるんですか?」

小野解説委員
「政府としてはスマホ契約の本人確認をマイナカードなどにしていく方針について、具体的な実施時期は未定だとしています。ただ十分な準備期間を確保した上で実施するとしていますから、すぐにスマホ契約にマイナカードが必要とはならなそうです」

森アナウンサー
「ICチップを読み取るリーダーやアプリなど、皆さんに周知徹底しないと『聞いてなかった』『知らなかった』となっちゃうので、その準備期間は必要かなということですよね」

小野解説委員
「ではなぜ今、政府はこんな方針を打ち出したのでしょうか? 政府の『国民を詐欺から守るための総合対策』が18日にまとめられ、この方針はその中に盛り込まれたものです」

■「ICチップによる確認は必要」ナゼ

小野解説委員
「スマホを契約する際に本人確認書類を偽造して、不正に他人になりすます、いわば『なりすましスマホ』による犯罪が相次いでいるということがあります」

「例えば、誰かが森さんになりすましてスマホを契約し、勝手にスマホのSIMカードを再発行して乗っ取り、それを使って不正に送金されてしまうといった犯罪もあります」

森アナウンサー
「ある日突然自分のスマホが使えなくなり、他の人の物になってしまっているということですよね。確か、目視で確認していたから偽造されてしまったという話でしたよね?」

小野解説委員
「はい。ちょっと怖いですよね。実際にそういった事例が起きているといいます。スマホ業界に詳しいITジャーナリストの石川温さんに聞きました」

石川さん
「本人確認において顔写真などで目視するだけでは、だませてしまう。その点、ICチップの中身を偽装することは不可能。ICチップを使った本人確認を制度にしないと、国民の誰しもが被害を受ける可能性がある。ICチップによる本人確認は必要不可欠だと思う」

鈴江アナウンサー
「これまでマイナカードの目視での確認ということから偽造やなりすましが起きていたけれども、ICチップを使っての確認となると、セキュリティを高めることになり、そういったことを防げるということなんですね?」

■約3割の人が保有せず…今度は?

小野解説委員
「5月末時点のマイナカードの保有率は73.8%です。国民の7割以上が持っているということですが、逆に言うと3割ほどの人がまだ持っていないということになります」

「持っていない人は本人確認をどうすればいいのか。総務省に20日に聞いたところ、運転免許証のICチップを使う方法は残す方向で、さらにそれも難しい場合は住民票の写しの原本を郵便で事業者に送るといったやり方も検討する方向だということです」

■専門家「政府の説明が足りない」

小野解説委員
「専門家の石川さんは、『政府の説明が足りない』と指摘しています」

石川さん
「マイナカードは任意だと言いながら、こうしてでも持たなければいけないようなことを進めている。もっと丁寧にメリットを伝え、国民の生活を守るためのものだということを説明しなければいけないのに、それができていない」

森アナウンサー
「こうやってなし崩し的にじわじわと広がっていくやり方をとるのではなくて、正々堂々ときちっと説明してほしいなという気持ちはありますね」

■新デザインも…移行期のマイナカード

小野解説委員
「マイナカードは今後どうなるか。12月2日に今の健康保険証が原則廃止され、マイナ保険証に一本化されます。来年の春には、今アンドロイドで始まっているマイナカード機能のスマートフォンへの搭載が(アップルの)iPhoneでも導入されるようになる見込みです」

「また、2026年には新しいデザインのカードに切り替わる予定です」

鈴江アナウンサー
「また変更手続きも必要になりそうですが、移行期なので順を追って丁寧に分かりやすく説明してもらいたいです」

小野解説委員
「マイナカードの安全安心はもちろんですが、義務化など強い方針を決めるなら、国民への納得感のある説明もセットでお願いしたいです」

(2024年6月20日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html