海水浴場“イルカかみつき”被害急増のワケ ナゼ?“理由”を調査【バンキシャ!】
15日、バンキシャが向かったのは、福井県・美浜町の海水浴場。
バンキシャ
「真っ白な砂浜で気持ちいいです。たくさんのテントが立っています」
するとそこへ、「イルカが目撃されています。絶対に近づかず、触れないでください」とイルカへの注意を呼びかけるアナウンス。
さらに、「イルカを見たら 1海から上がれ! 2近づくな! 3さわるな!」という注意喚起の看板も。実はいま、イルカにかまれる人が急増している。
12日にカメラが捉えた野生のイルカ。海水浴客2人にかみつきけがをさせた。
この6日前にも、別の海水浴場で親子にかみついていた。さらに、7月21日には、そのイルカの姿がはっきりとらえられていた。人を恐れる様子はなく、遊んでいるようにも見える。
しかし、このイルカが今、次々と人をかんでいるとみられている。イルカにかまれた人は、今年すでに16人。いったいなぜ人間を襲うのか。
バンキシャは3日間にわたり、被害が相次ぐ福井県の海へ。その真相を追った。
14日、福井県美浜町の海水浴場で撮影された映像。そこには逃げようと泳ぐ人を、執拗に追いかける野生のイルカの姿が。泳いでいた人は、右手首や右肘をかまれたという。
バンキシャが話を聞くことができたのは、映像に映っていた人と一緒に海を訪れていた友人。近くで泳いでいたこの2人もイルカに襲われたという。
被害に遭った人
「後ろからバコーンってぶつかってきて何かが」
「よくよくこうやってバッて顔を見たらイルカで。えっイルカ来た!」
脇腹を突き上げられるような衝撃を感じたという。
その直後、今度は隣にいた友人にかみついたという。
被害にあった人は「なんのアクションもなく、いきなりがぶってかまれて」「貼ってるのが4か所」と傷痕を見せた。左の人差し指を5針縫うなどのケガをした。病院の書類に書かれたケガの名前は、「イルカにかまれた傷」。
被害に遭った人
「水中に引きずり込まれたら、死ぬなとか思いながらどうやって岸に戻ろうって」
「それしか考えてなかった」
相次ぐイルカによる被害。なぜイルカは人間にかみつくのか。
17日、バンキシャが向かったのは、静岡県沼津市にある水族館。人気のイルカショーでは、飼育員とイルカが息を合わせ、次々と技を決めていった。
バンキシャは、イルカを間近で見せてもらった。愛らしい表情のイルカ。しかし、その口の中は…。
バンキシャ
「とがってます」
びっしりと並んだ鋭い歯。個体によって異なるが、上下で鋭い歯が110本ほどあるという。しかし…。
バンキシャ
「かまれることはない?」
飼育員
「ないです、基本」
「攻撃するためにかみつくとかそういうことは、ほぼないと思います。人間に対して」
ではなぜ、福井県に出没するイルカはかみつくのか。
イルカの生態にくわしい東海大学海洋学部の村山司教授は、「はぐれイルカになっている」「イルカの方としては遊びの気持ちでかんだり、色々やったりしている」と話す。
今回のイルカは群れからはぐれたとみられ、さみしさから人間に近づき、遊ぼうとして噛んでいるのではないかという。
敦賀海上保安部によると、今年のイルカによる被害は、すでに16人。去年の3倍以上だという。なぜここまで増えているのか。
東海大学海洋学部・村山司教授
「イルカのほうが慣れてきて、人間のほうにだんだん近寄って来る頻度が多くなる。回数が増えた、被害が増えた」
イルカの被害を減らすため、福井県内の海水浴場では、ある取り組みが行われていた。使っていたのは、イルカが嫌う音を発する機械。これを沖合に設置し、イルカが海水浴場に入ってこられないようにしていた。
しかし、村山教授は「(イルカ類は)学習能力がある」と話す。
東海大学海洋学部・村山司教授
「最初は逃げるけど、だんだん慣れてくると安全だって思って来る」
「イタチごっこ。人とイルカの永遠のかけあい」
バンキシャが取材した3日間、イルカは姿を現さなかったが、万が一遭遇してしまったらどうすればいいのか。
東海大学海洋学部・村山司教授
「逃げるしかない」
「共存共生を考えると、人間側がいなくなるのを待つ。そういうことくらいしか対策はない」
(8月18日放送『真相報道バンキシャ!』より)