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あぶない きたない ばかばかしい “子どもの力”信じる青空保育

2022年11月4日 14:38
あぶない きたない ばかばかしい “子どもの力”信じる青空保育
子どもの遊びは、あぶない、きたない、ばかばかしいが満ちている。山形県米沢市の「青空保育たけの子」。築100年の古民家を舞台に子どもたちの日常を4年間記録。けんか、号泣、わがまま、助け合い、子供たちは自然と呼応しながら育つ。子ども時代にしかない豊かな時間が流れていた。

 ◇◇◇

ぼくも、わたしも、何だって自分でできるんだ!

「刃先、そらくんに向けると少しあぶないかな~」

あぶなくても保育士は手を貸しません。

青空保育たけの子 辺見妙子代表(62)
「子どもの時って“あぶない”ことやるし、“きたない”こともやるんですよね。そして一番は“ばかばかしい”。『何でそんなことが楽しいの?』ってことを子どもは延々とやっているので、一見無駄に思えるようなことは子ども時代にしか許されないのかな」

「青空保育たけの子」のモットーは、自分で考えて、自分の言葉で話し、自分で行動する。

「ちょっと足がまだ届かないね、ふみちゃん」

「ねえ、やって~!持ってやって~!」

「やらないんだよ。自分でできるまで待ってるんだよ。がんばれ!ふみちゃん。おっ!いけるか」

「ほとんどスタッフは手を貸さないです」

保育士はちゃんと見守り、真剣に寄り添います。

青空保育たけの子 辺見妙子代表(62)
「子どもができないって思うこと。失敗したとか、そういう試行錯誤を(親は)奪わないでほしいなって思っているんです」

夏休み恒例の親子キャンプ。食材を買い出しに行く班の中に、まだ2歳の悠花ちゃんの姿が。「私も行く!」と自ら志願しました。しかし、園からお店までは往復4キロの道のり。何度も足が止まります。

「足は大丈夫?」

「大丈夫」

「よし、じゃあ行こう。たけの子までがんばる?」

まだ歩けるのか、もう歩けないのか、悠花ちゃん自身に委ねます。ゴールまで1kmを切りました。

「(橋を)渡れば、たけの子だ」

帰りを待つ、悠花ちゃんのお母さん。

「ここでちょっと(待ちます)。ポキッて(心が)折れそうな気がする」

ゴールまで200メートル。近所のおじさんがミニトマトをくれました。

「ママ~!トマト」

「おぉーすご~い!。がんばったね。疲れたね~、おかえり!。とってきたの?すごいね。食べるの?」

「たべる」

「子どもの力を(大人は)過小評価しているのかな。できることはいっぱいあるし、子どもがいるから大人は元気でいられるわけだから。お互いなんですよね。支えあっていると思うので」

泣いて、笑って、支え合って。卒園式。頼れる先輩を、涙で見送ります。

辺見代表
「(今は)子どもたちが自由な発想で遊んで、自分たちで問題解決できるようなチャンスっていうのが奪われているんじゃないかな。ばかばかしい遊びをしていない。何かすると『そんなの』とか『何してんの!』とか言われる。そういう夢中になって遊んだ経験っていうのが育むもの。それは私は、自尊感情だと思っているんですよね」

こどもにとって大切な、あぶない、きたない、ばかばかしい。ここから、人生の第一歩が始まります。

2022年7月24日放送 NNNドキュメント’22『あぶない きたない ばかばかしい“子どもの力”信じる青空保育』をダイジェスト版にしました。
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