「我が家の味」がなくなる? ある人は約1割 背景は?
各家庭でそれぞれ、子どもの頃から食べてきた「我が家の味」。今、そんな「我が家の味」に変化があるといいます。年々それを感じる人が減っているというのです。
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カラっと揚げたコロッケに肉汁がしたたる焼き鳥。都内にあるスーパー「BLANDEオリナス錦糸町店」に並んでいたのは、和食や洋食などのお総菜です。その数、約450種類。店内で手作りしたお弁当をまるごと冷凍し、解凍すればすぐに食べられるお弁当もあります。
買い物客(40代)
「いつもご飯の献立とか考えるのすごく大変なんですよ」
買い物客(30代)
「仕事をしているんですけど、その時はちょっと買って時短で済ませたり、子どもがいるので助かります」
こうした中、食卓をめぐる驚きのデータが明らかになりました。食生活を調査する会社が今年行ったアンケートで、お父さん、お母さんなどが作る「『我が家の味』がある」と回答した人は、約1割にとどまることがわかったのです。
背景には、買い物や料理に割く時間が限られていることや、物価高のため、これまで購入していた食材が買いづらくなっていることが考えられるといいます。
そこで、みなさんに我が家の「家庭の味」があるか聞きました。
家庭の味“あり”(30代)
「納豆チャーハン、『なっちゃん』って我が家では呼んでいる定番メニューがあって、物心ついた時から日曜の朝ごはんの定番。納豆とちりめんを入れたチャーハン、それがもうずっと我が家の味」
家庭の味“あり”(20代)
「ギョーザですね。1から作ります、肉買ってきて、野菜買ってきてタネから作る。それぞれ味が、味がやっぱり家庭の味で形もいびつになるので手作り感、楽しくおいしく食べられる」
ただ、その「家庭の味」を将来作るかと聞いてみると…
家庭の味“あり”(20代)
「難しい…同じものは作れない」
家庭の味“あり”(20代)
「冷凍とかデリバリーもおいしいので」
家庭の味を自分で作ろうとは思わないという声も聞かれました。
家庭の味“なし”(50代)
「家庭の味、母に作ってもらった肉じゃが、煮物、卵焼き」
母親に作ってもらった「家庭の味」はあったといいますが、自分自身が親になって作っているかというと…
家庭の味“なし”(50代)
「特にはパッと思い浮かばないです。(家庭の味がない人が)9割、多いですよね。でも私もその中の一部なので。でも働いている人が多いとしょうがなくなってきちゃうかなとは思いますけど」
母親と同居していないため、細かく家庭の味を伝授される機会が少なかったという女性は…
家庭の味“なし”(30代)
「調べられる機会が増えてきたので、クックパッドとかインスタグラムとかで、そこを基準で調べて作ることが増えちゃったので我が家の味っていうのも減っていっているのかな。気軽にウーバーイーツとか頼めちゃったり、自炊のタイミングが減ったりとかもあるのかも」
スーパー「スズキヤ」では総菜にこだわり、冷めてもおいしいというから揚げなど、総菜の需要が増えているといいます。
スズキヤ営業統括本部 吉田徹さん
「本当は手作りが1番なのかと。(家庭の味の)代わりになれたらいいのかな」
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“時短と“家庭の味”を両立する人もいます。わんぱく盛りの2人の子どもがいる岡部さん。
6歳と3歳の子どもがいる岡部さん(30代)
「子どもたちのリクエストがあり、焼き鳥を買ってきました」
手間がかかるおかずは総菜に頼ることもありますが…
6歳と3歳の子どもがいる岡部さん(30代)
「我が家の家庭の味はおみそ汁かなと思っています」
毎日つくるみそ汁にこだわっているといいます。
6歳と3歳の子どもがいる岡部さん(30代)
「私の祖父母が九州出身で、麦みそが土地のおみそなんですけど、あのホッとする感じを家庭の味としたいと思います」
“我が家の味”をきっかけに、今や全国各地のみそを集めるまでになったといいます。
6歳と3歳の子どもがいる岡部さん(30代)
「息子たちも『きょうは何のおみそ?』と聞いてくるので、日本地図を使って『場所はここだよ』とか話をしたり、おみそを通して、食事を通して、ひとつのコミュニケーションが成り立つものだと思っている」
代々受け継いだ“我が家の味”。おとなになった時、そのありがたみに気づくはずです。