シリーズ大廃業時代② 継ぐ ~このバトン 受け取るのは~
赤字だった新潟県の老舗酒蔵。第三者に経営を譲る「事業承継」を決断すると、日本酒とは無縁の会社が名乗りを…。一方、黒字ながら後継者を探す企業も。おかゆメーカー社長が託したのはプロ野球・独立リーグの元ピッチャー。「事業承継」した経営者たちを追う。
後継者がいない会社を、別の企業に継ぐ。企業同士のマッチング。
ヒカリ食品・中山大さん
「僕は中継ぎですよ。次の世代に渡すまでが、僕は成功だと思っているので」
「ヒカリ食品」の2代目を次いだ、中山大(なかやま・たかし)さん。かつて、プロ野球の独立リーグでピッチャーとして活躍。その後、広告関係の企業に勤めていました。
中山さん
「チャレンジが必ず次につながるというのが、野球から学んできて」
去年、おかゆの製造・販売を手掛ける「ヒカリ食品」の事業を引き継ぎました。
ヒカリ食品創業者・高橋治雄さん
「これ成城石井とかに1番最初に入った。東京の大手スーパーに入っている」
創業者の高橋治雄(はるお)さんは、高齢化社会が進む中、レトルトのおかゆに目を付けました。
49歳の時、1億円近くの借金をして起業、黒字企業へと成長させました。
――本当は息子さんに継がせたかった?
高橋さん
「それはね、自分が苦労した会社だから。いやだということを無理にさせると大体うまくいかない」
中山さん
「打たれた記憶しかないですけど」
事業を引き継いだ中山さん。食品会社で働いた経験もありませんが、“リリーフピッチャー”のようにヒカリ食品を受け継ぎました。
先代の味は変えず、若い世代にもニーズを広げるためパッケージを一新。就任1年目の売上は過去最高を記録しています。
高橋さん
「私と年齢が違うから。考え方がインターネット時代の考え方だから、非常にいい」
創業者は顧問として、経営者を支えます。
高橋さん
「そのギフト、当たりそうだね」
中山さん
「おお! ホントですか!!」
高橋さん
「アイデアとしてはよさそうだな」
黒字経営を続け、次の経営者へバトンを渡す…。
一方、赤字が続き苦境に立たされていた上越酒造。6代目の社長の飯野美徳(よしのり)さんは酒蔵を「事業承継」という手段で、別の企業に引き継ぐ決断をしました。
上越酒造・飯野美徳社長
「最後の1本ですね」
「終わりましたな」
たとえ、他の人の“もの”になっても、『愛する商品、そして上越酒造を残したい』。
「株式譲渡成約式を開式いたします」
経営権を取得した企業の完全子会社となり、新たなスタートを切ったのです。
新たに酒蔵の経営に乗り出すのは「日本(にっぽん)トーター」という企業。競馬やオートレースなどの、券売機や払い戻し機の製造などを手掛けています。インターネット投票のシステムが人気を押し上げ、公営ギャンブルの場外売り場は収益が低迷していました。
日本トーター・原田孝雄取締役
「当然、売り上げが下がれば機械は売れないと。いろんな所に手を出さなきゃいけない。絶対になくならないものというのがコンセプトだったんですよね。これにかけてみようと」
生き残りをかけ、新たに立ち上げた「日本酒事業」。「日本トーター」から社員4人が新たに配属されました。全員、酒づくりは未経験です。
6代目の飯野さん。代表権はなくなりましたが指導者として残ることになりました。
「日本(にっぽん)トーター」が得意な機械を導入し“緻密”に管理する、新たな酒造り。
上越酒造・川口正高工場長
「まずは飯野さんの味を再現したい」
「38パーセントまで湿度が上がりました」
飯野さん
「真ん中へ寄せてざっと広げたら一旦積んじゃいましょう」
事業承継から、半年。師弟関係が生まれていました。
飯野さん
「なかなかできないですよ」
2人にとって最初の酒。
飯野さん
「緊張するね」
「あー思わず飲んじゃった。おいしい、おいしい、うーんおいしい」
川口さん
「(酒造りをして)たった1年ですからね、継ぐって責任重大ですよね」
「今後もよろしくお願いします」
「事業承継」は経営だけでなく、それぞれの想いも未来につなぎます。
2022年11月6日放送 NNNドキュメント'22『シリーズ大廃業時代(2)継ぐ~このバトンを受け取るのは~』をダイジェスト版にしました。
ヒカリ食品・中山大さん
「僕は中継ぎですよ。次の世代に渡すまでが、僕は成功だと思っているので」
「ヒカリ食品」の2代目を次いだ、中山大(なかやま・たかし)さん。かつて、プロ野球の独立リーグでピッチャーとして活躍。その後、広告関係の企業に勤めていました。
中山さん
「チャレンジが必ず次につながるというのが、野球から学んできて」
去年、おかゆの製造・販売を手掛ける「ヒカリ食品」の事業を引き継ぎました。
ヒカリ食品創業者・高橋治雄さん
「これ成城石井とかに1番最初に入った。東京の大手スーパーに入っている」
創業者の高橋治雄(はるお)さんは、高齢化社会が進む中、レトルトのおかゆに目を付けました。
49歳の時、1億円近くの借金をして起業、黒字企業へと成長させました。
――本当は息子さんに継がせたかった?
高橋さん
「それはね、自分が苦労した会社だから。いやだということを無理にさせると大体うまくいかない」
中山さん
「打たれた記憶しかないですけど」
事業を引き継いだ中山さん。食品会社で働いた経験もありませんが、“リリーフピッチャー”のようにヒカリ食品を受け継ぎました。
先代の味は変えず、若い世代にもニーズを広げるためパッケージを一新。就任1年目の売上は過去最高を記録しています。
高橋さん
「私と年齢が違うから。考え方がインターネット時代の考え方だから、非常にいい」
創業者は顧問として、経営者を支えます。
高橋さん
「そのギフト、当たりそうだね」
中山さん
「おお! ホントですか!!」
高橋さん
「アイデアとしてはよさそうだな」
黒字経営を続け、次の経営者へバトンを渡す…。
一方、赤字が続き苦境に立たされていた上越酒造。6代目の社長の飯野美徳(よしのり)さんは酒蔵を「事業承継」という手段で、別の企業に引き継ぐ決断をしました。
上越酒造・飯野美徳社長
「最後の1本ですね」
「終わりましたな」
たとえ、他の人の“もの”になっても、『愛する商品、そして上越酒造を残したい』。
「株式譲渡成約式を開式いたします」
経営権を取得した企業の完全子会社となり、新たなスタートを切ったのです。
新たに酒蔵の経営に乗り出すのは「日本(にっぽん)トーター」という企業。競馬やオートレースなどの、券売機や払い戻し機の製造などを手掛けています。インターネット投票のシステムが人気を押し上げ、公営ギャンブルの場外売り場は収益が低迷していました。
日本トーター・原田孝雄取締役
「当然、売り上げが下がれば機械は売れないと。いろんな所に手を出さなきゃいけない。絶対になくならないものというのがコンセプトだったんですよね。これにかけてみようと」
生き残りをかけ、新たに立ち上げた「日本酒事業」。「日本トーター」から社員4人が新たに配属されました。全員、酒づくりは未経験です。
6代目の飯野さん。代表権はなくなりましたが指導者として残ることになりました。
「日本(にっぽん)トーター」が得意な機械を導入し“緻密”に管理する、新たな酒造り。
上越酒造・川口正高工場長
「まずは飯野さんの味を再現したい」
「38パーセントまで湿度が上がりました」
飯野さん
「真ん中へ寄せてざっと広げたら一旦積んじゃいましょう」
事業承継から、半年。師弟関係が生まれていました。
飯野さん
「なかなかできないですよ」
2人にとって最初の酒。
飯野さん
「緊張するね」
「あー思わず飲んじゃった。おいしい、おいしい、うーんおいしい」
川口さん
「(酒造りをして)たった1年ですからね、継ぐって責任重大ですよね」
「今後もよろしくお願いします」
「事業承継」は経営だけでなく、それぞれの想いも未来につなぎます。
2022年11月6日放送 NNNドキュメント'22『シリーズ大廃業時代(2)継ぐ~このバトンを受け取るのは~』をダイジェスト版にしました。