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シリーズ大廃業時代(1)潮時~自主廃業という選択~

2022年12月9日 12:50
今、黒字にもかかわらず自主廃業を選択する経営者が後を絶たない。背景にあるのは経営者の高齢化と後継者の不在だ。廃業が加速すれば地域経済はむしばまれ、人口減少に拍車がかかると懸念される。地方で静かに進行する自主廃業の実態に迫る。

黒字なのに「後継者不在」で廃業する企業。推計60万社。

「いまくらいが潮時かなと思って」

店が消える。技術が消える。大廃業時代が目前に迫まっています。

一番人気は、ウナギのかば焼き。たくさんの人に愛されてきた「秋山鮮魚店」。
煮魚に焼き魚など、ここはすっかり近所の台所です。

お客さん「温泉行ってもこっちの方がおいしい」

店を切り盛りするのは秋山冨士子さん。

冨士子さん「ウナギのたれ。企業秘密で言えない。ハハハ」

トラックで向かったのは、南加賀公設地方卸売市場。日本海で水揚げされたばかりの魚が並びます。

冨士子さん「10と22」

以前は魚の仕入れから仕込みまで、夫の英樹さんが行っていましたが、7年前に他界。市場の人たちが、冨士子さんを支えました。

卸売市場で働く舟見正男さん「配達に来たら、お母さんが1人で四苦八苦しとった。それで、手伝ってやるわって。それから」

4人の娘はそれぞれ仕事や家庭を持ち、店の後継者はいません。四女の幸子さんは、仕事が休みの日には、母と一緒に店に立ちますが。

四女・幸子さん「(後継者と)いっぱい言っていただくんですが、母のマネはできないです。ウナギのタレを炊くのも難しいんで、なかなかできないなと思います」

冨士子さん「まだまだ続けられるとお客さんは言ってくれるけど、私の体はやっぱいうこときかんことになる」

約60年続いた店を閉じることを決意しました。

今年3月31日。

お客さん「いつも助かっていました」

冨士子さん「ありがとうございます」

地域の人たちが集う灯がこの町から消えました。去年、行われたある調査では、後継者が「いない」または「未定」とした企業の数は、約16万社。国は「後継者不在の企業」と「事業を譲り受けたい企業や個人」とのマッチングを進めています。

石川県事業承継・引継ぎ支援センター 多田久俊さん)「廃業というのは、その企業がなくなるということだけではなく、技術やノウハウ、そういうものが引き継がれずになくなってしまう。これを放置しておくと10年後の県内の企業がかなり減っているのではないか」

「大廃業時代」。技術が失われる代償は…。

2022年10月30日放送 NNNドキュメント’22『シリーズ大廃業時代(1)潮時~自主廃業という選択~』をダイジェスト版にしました。