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性別による偏見や不平等ない社会に!若者らによるイベント 8日は国際女性デー

2025年3月3日 2:11
性別による偏見や不平等ない社会に!若者らによるイベント 8日は国際女性デー
講座修了者による発表
3月8日は女性の健康や権利などを考える国際女性デーですが、東京都内で、ジェンダー平等を考えるイベントが行われました。

イベントに参加したのは、一般社団法人ジェンカレの「ジェンダーカレッジ」という連続講座を受けた若者らです。この連続講座は、ジェンダー平等、つまり性別に基づく偏見や不平等のない社会を作るため、様々な分野の専門家などの講義を半年近く受け、議論した成果として、2日は各自が今後取り組む「行動計画」を発表しました。

今回、第3回となる講座を終えた大学生や社会人は20人。2日の発表会で、ある大学生は、性的指向などについて、誰もが「自分ごと」にできるように、中学生対象のワークショップを地域で行い、講師役も育成、7年後には参加者1万人を目指す、と述べたあと、講座を振り返り、「ジェンダーを学ぶのは楽しい」と笑顔で話しました。

別の大学生は、中学生の時、東日本大震災で被災し、避難所で「生理用ナプキンを欲しい」と言うと、「ぜいたくだ」と言われた経験があると話しました。この学生は、現在は、生理用品やそれを捨てる時に入れるビニール袋をストックして、使いたい人が取り出せる段ボール製の箱が開発されていると述べ、それを避難所のトイレの個室に備え付けるよう行政などに提案するなどと発表しました。

さらに、視覚障害者と生理用品という課題も挙げ、シャンプーの容器には、手で触れてコンディショナーと区別できるようギザギザが付けられているが、生理用品には特に工夫がされておらず、視覚障害者はナプキンのサイズ(夜用、軽い日用など様々なサイズがある)を選ぶのが難しいと指摘しました。そして、「誰もがあたり前のように、自分が使用したいナプキンを選べる社会」を目指して、ナプキンの個包装に点字サインを付けた「バリアフリーナプキン」を開発したいと述べました。

また、山形県に住む学生は、今後、いろいろなことに挑戦したいが、周りに「結婚したらできるの?」などと言われることがよくあり、自分でも、結婚するのがあたり前といった無意識の思い込みがあり、「結婚が前提となっていて、理想の人生を描けない」と生きづらさを語りました。

その学生は、性別役割分担などジェンダー問題に気づき、それを話し合うきっかけになるよう、制服をめぐるモヤモヤなど、生活の場面などを書いた「ジェンダーカード」を、県のプログラムで作ったとし、それを使って、学生同士が語り合う機会を作ったということです。参加した男女の学生からは、良かったという感想が寄せられたということで、さらにそうした機会を増やしたいと意欲を示しました。

ジェンカレを立ち上げた代表理事・櫻井彩乃さんは、今後は地方に住む若者にもジェンダーについて学ぶ機会をさらに提供したいと述べたほか、仲間作りが大切だとして、それぞれの地域でジェンダー平等の実現に取り組んでいる若者たちが「今だ!というときに手を取り合って、変えていけたらと思う」「楽しい部分を探しながらやっていこう」と呼びかけました。

ジェンダーや「男性」性について長年研究してきた京都大学の伊藤公雄名誉教授は「企業がようやく多様性が必要だと気づき始めた。」と話す一方で、アメリカのトランプ大統領をはじめ、ロシア、中国など大国の指導者が多様性を許さない状況になっている、と指摘。「複雑性、多様性に耐えられない人たちがいる」「単純化して全部固めて統制するという発想だ」と述べ、アメリカなどジェンダー平等への取り組みが進んでいた国で揺り戻しの風潮がある中、「取り組みをやってこなかった日本で、どう動いていくかがすごく大切だ」と強調しました。

■ジェンカレから11人が国連の会議に参加

ジェンカレのこれまでの受講者のうち、高校2年生から20代の10人は代表理事の櫻井さんとともに、今月(2025年3月)ニューヨークで開かれるCSW=国連女性の地位委員会の年次会合に、日本のNGO代表の一部として、参加する予定です。期間中は国連本部以外の場でも様々な催しが行われ、各国代表だけでなく、NGOのメンバーも参加し、意見交換などを行うということです。

1995年に北京で「世界女性会議」が開催され、日本からの参加者約5000人を含む数万人が参加し、男女平等の実現などを話し合ってから今年で30年。現在の日本の課題としては、こうした活動の担い手が高齢化し、次世代に引き継ぐ仕組みの必要姓などがあるということで、そうしたことを発信しつつ世界の情勢を学ぶため、今回ニューヨークに行く学生は、「私は包括的性教育を学校で教えたいと思っていて、各国の状況を知りたい」と話したほか、櫻井さんは、「ジェンダー平等実現にむけた政府の取り組みや体制に若い世代がしっかり関与している国があれば、それを参考にしたい。また、国と民間の連携についても好事例を知りたい」と語りました。

最終更新日:2025年3月3日 9:31