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社員が安心して働ける環境づくりへ 県内企業で「カスタマーハラスメント」対策進む

2024年11月27日 18:25
社員が安心して働ける環境づくりへ 県内企業で「カスタマーハラスメント」対策進む
社員が安心して働ける環境作りへ 県内企業もカスタマーハラスメント対策進める

利用客からの著しい迷惑行為、いわゆる「カスハラ」が社会問題となっています。県内のタクシー会社や小売店でも対策に乗り出していて、専門家は個人ではなく、組織として対応するようアドバイスしています。

県内のタクシー会社です。これまで乗客から見やすいよう車内に掲示されていた運転手の名前や顔写真の掲示はありません。

県内でも順次、新たな運転者証の導入が進む訳とは。

■県内のタクシー運転手
「お前どこいくんじゃバカヤローって、走っている最中にどこ行きさらすんじゃボケって」

■運転手
「腹を立てて座席ドーンと蹴ったり、ドアをバーンと叩いたりと それは怖い タクシーは後ろに利用客が乗っている 何をされるかわからない」

利用客という立場を盾に、運転手に暴言を吐いたり、行き過ぎた要求をしたりする「カスタマーハラスメント」いわゆる「カスハラ」対策です。

乗客が運転者証をスマートフォンで撮影してSNSで拡散するといった恐れもあり、去年、法令の改正で、車内での運転者証の掲示義務が廃止されました。

■タクシー運転手
「新型の運転者証の方が安心 乗務員証見てなんやと言われる場合がある」

カスハラの対策は小売店でも。

県内最大のショッピングセンターエルパを共同運営する組合では、従業員の安全を確保する行動指針を定めました。

この中では、店員に対する暴行や暴言をはじめ、商品交換や金銭補償の過度な要求をカスハラと定義しています。

■福井ショッピングモール 竹内邦夫理事長
「一番はお客さんに喜んでいただくためには、従業員が安心して働ける場が必要 エルパでは大きなカスハラの事案はないが、起こる可能性がある 従業員も不安になっている そこを取り除いていきたい」

この日はテナントのオーナーや店長を対象に初めての研修会が開かれました。

■弁護士
「自分は今矢面に立っているが、後ろにはしっかり会社がついてくれていると組織的な安心もして、失敗しても次は会社が出てくれる、会社が対応してくれるとか、、安心感があれば、現場で毅然と対応できる」

緊急の場合には、警備員や事務局と連携する一方、警察への通報や法的措置も検討するとしています。

カスハラが起きる背景について地域経済に詳しい専門家はこう語ります。

■仁愛大学 南保 勝教授
「ビジネスというのは、フェイスツウフェイスのコミュニケーションの中で生まれるもの 効率化したツールを入れることで、利便性が高まる場合があるが、そこに血の通ったコミュニケーションができなくなる中で、ストレスから起きるカスハラがある」

またカスハラに対しては、個人ではなく、組織としての対応が必要だと指摘します。

■南保 勝教授
「カスハラを1人で対応するのではなく、企業の組織全体で対応するためにも、相談窓口を設置して、従業員が1人で抱え込まないよう企業として整備する必要がある」

県内でも広がるカスハラ対策。誰もが安心して働ける環境づくりが求められています。

最終更新日:2024年11月27日 19:37
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