×

【特集】なぜ下がらないコメの値段 茶わん32億杯分が行方不明に 背景には買い付け競争の激化 政府は"備蓄米"放出へ

2025年2月11日 19:26
【特集】なぜ下がらないコメの値段 茶わん32億杯分が行方不明に 背景には買い付け競争の激化 政府は"備蓄米"放出へ

高値が続くコメを巡って、政府は備蓄米を放出する準備を進めています。コメの供給量が増えることで店頭価格の値下がりも期待される中、今後の影響を懸念する声も聞かれます。

永平寺町の食品スーパーです。売り場にはさまざまな銘柄のコメが並んでいますが、販売価格は県内産の銘柄で前の年と比べて最大で6割アップしています。

■ハニー中吉 中村泰啓専務
「価格が安くなる話は届いていない。むしろもしかしたら、これからひっ迫して相場が上がるかもしれないという話も聞いている」

去年の夏に各地のスーパーから姿を消した主食のコメ。新米の入荷とともに品薄状態は解消された一方で、今も高値が続いています。

なぜコメの値段が下がらないのでしょうか。

■さんさん池見 大嶋朋裕取締役
「これですべてになるが、例年よりも3分の2しか残っていない」

コメどころの坂井市内の農業法人ではある異変が。

■さんさん池見 大嶋朋裕取締役
「注文がひどかったときは1日1パレット(1.2トン)出荷した時もあった。ここでコメの注文を制限せずに受注してしまうと、3か月持つか持たないか」

この法人が手掛ける個人向けのネット販売には今シーズン、関東などから新規の注文が相次ぎ、このほどコシヒカリなど一部の銘柄のオンラインでの販売を見合わせました。

全国の集荷業者による買い付け競争が激しさを増し、業者が客を装って買い付けしているおそれもあるため、直売所でも地元の客を優先して購入制限を設けながら販売しています。

■客とのやりとり
「今残っているコメはハナエチゼンとアキサカリしかない。(早生の)ハナエチゼンはまだ残っているコメだけど、今年は早く出てしまって」

■客
「どこに行ってもない。どこに消えたかわからないがない」
■客
「めちゃくちゃ値段が高いところは高い。出さない、多分。値段を上げようとしている」

農林水産省によると、去年の全国のコメの生産量は前の年より18万トン増える見込みなのに対し、市場に出回っている量は逆に21万トン少なく、茶わん32億杯分のコメが行方不明に。

これが価格高騰を招く要因となっているとして、農林水産省は不作や災害に備えて政府が保有している備蓄米を放出することを決めました。

■さんさん池見 大嶋朋裕取締役
「生産者としても食べてもらわないと消費が上がっていかない。コメ離れが一番心配なので、備蓄米の放出はすごくいいこと」

備蓄米の放出でコメの供給量が増え、店頭価格の値下がりも期待される中、コメの集荷業者が農家に示す買い取り価格に早くも変化が。

■稲作農家 白井清志さん
「政府の備蓄米の一部放出という 話が出ましたので、これで(60キロ当たり)約1万円ほど下がりました」

一方、政府はコメの値崩れを防ぐため、JA全農などの集荷業者に売り渡した同じ量を1年以内に買い戻す方針です。

■稲作農家 白井清志さん
「今年中に出した分だけを元に戻そうという話になっていて、また上がりました。今現在は約5万円ほどになっている。コメの価格は一時的に備蓄米を出しても元に戻すのであればさほど意味がない」

また、コメの集荷をする福井市内の卸売業者は政府が放出した分の新米を買い取ることで来シーズンのコメ不足を懸念しています。

■福井精米 樋田光生社長
「(令和)7年産の貸し出しという形で聞いているので、7年産でまたコメが足りなくなるようなことが起きるのではないか。不安は正直なところある」

一方、県JAグループは農家の手取りへの影響を懸念しています。

■県JAグループ 宮田幸一会長
「農業団体としては反対をしていきたい。備蓄米は置いてもらう。足らないのであれば生産調整している面積を増やして需給バランスを合わすのが我々の仕事」

なお、農林水産省は今週末にも備蓄米の販売量や条件を示して、できるだけ早く放出する方針です。

最終更新日:2025年2月11日 19:46
    一緒に見られているニュース
    福井放送のニュース