虐待死は0歳児が最多…子ども家庭庁専門委員会が検証結果を報告
大学教授らで構成するこども家庭庁の専門委員会は12日、2022年度に虐待死した子どもは、全国で72人だったと発表しました。前年より2人減りましたが、0歳児が最多だったということです。
72人のうち、無理心中を除く56人を死亡時の年齢別でみると、0歳字が最も多い25人で、44.6%でした。加害者は実母が23人と最も多く、実母と実父が7人、実父が6人でした。類型別ではネグレクト(育児放棄)が最多の24人で、次いで身体的虐待が17人でした。
母親の養育能力が低かったり、育児不安や精神障害を抱えたりしているケースが目立っているということです。
専門委員会は一部の事案について詳細な現地調査を行いました。
実母の暴行で死亡したとされる0歳児のケースでは、年上のきょうだいが、実母の虐待で別居中でした。0歳児は双子で、自治体は妊娠した際に実母を特別な生活支援が必要な「特定妊婦」に認定。出産後も家庭訪問などが行われていましたが、被害を防げませんでした。実母が特定妊婦で年上のきょうだいを虐待していたことも踏まえ、負担が大きい多胎育児をすることについて、専門委員会は児童相談所が危機感を持ち、養育状況の確認をするべきだったと強調。児相の認識の甘さや自治体などとの連携不足を指摘しています。
専門委員会は児童相談所や自治体向けに、解説動画を初めて公開しています。
専門委員会委員長の相沢仁・山梨県立大特任教授(子ども家庭福祉)はこの動画の中で、「日々、児童虐待防止対策にあたる現場の関係者の方々に心から敬意を表するとともに、本報告が1人でも多くのこどもを児童虐待から守ることに資することを切望いたします」と述べています。