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「どこでも起こりうる事故」郡山市の4人死亡事故から1年 必要な事故防止対策は

2024年1月9日 16:33

郡山市の交差点で車同士が衝突し、一家4人が亡くなった事故から1年が経ちました。事故を受けて対策の動きも広がるなか、二度と悲惨な事故が起きないために改めて考えます。

■川上耕平記者
「郊外交差点で車同士が衝突し、一家4人が亡くなる事故から1年です。事故発生から1年となるこの日、現場には多くの花が手向けられています」

突然の悲劇に辺りは悲しみに包まれました。
2023年の1月2日、郡山市の交差点で優先道路を走る軽乗用車に普通乗用車が衝突。軽乗用車が横転し炎上しました。

橋本 貢さん(享年41)妻の美和さん(享年39)長男の啓吾さん(享年20)長女の華奈さん(享年16)、突然4人の尊い命が奪われました。

毎年、家族4人でキャンプに行くなど仲の良い家族でした。
何もなければことしも…

一方、乗用車を運転していた20代の男には、過失運転致死の罪で禁錮3年の実刑判決が言い渡されました。

人生を大きく狂わせる交通事故。
時間がたっても遺族は癒えることのない痛みを抱えたままです。

■遺族
「去年の正月に家族4人で遊びに来てくれて、大きな声でバイバイと手を振ってくれた最後の姿がいまも頭から離れません」
■遺族
「毎朝、4人の遺影を見るたび、いなくなってしまったと思い続けた1年で、いまも苦しいです。これからの人生だったのに、可哀相すぎる4人が」

なぜ事故は起きてしまったのか…?
現場は、白線が消えかかり「交差点を見落としやすい」状況だったことがわかりました。

交通心理や自動車の安全などを研究する九州大学大学院の志堂寺教授に伺うと…
■交通問題に詳しい九州大学大学院 志堂寺和則教授
「ある意味では日本どこでも起こりうる事故。日本の特に地方なんかでは舗装が古くなっていて路面のペイントなんかも薄くなっているところも多い」

事故の再発防止へ求められるのがハード面の整備です。
郡山市では現場には白線が引き直され一時停止の規制が設けられました。
また市内の200か所近い交差点にカーブミラーを設けるなど対策工事を終えています。

こうした動きは別の自治体でも…

■川上耕平記者
「郡山市の4人死亡事故を受けて、隣の本宮市でも交差点前の消えかかった路面標示を塗り直すなど対策を進めているということです」
「同じような事故は本宮市内でも起こりうる」と独自で対策を進めています。

■本宮市役所建設課・渡辺忠一課長
「大変痛ましい事故を受けまして2月中旬に市が管理する市道の中で見通しが悪く、事故の発生が懸念される交差点などの区画線や一時停止線などの点検を実施した」

福島県警の調査も進められ、福島県内の交差点2030か所で事故が発生する恐れがあることがわかりました。今年度中に約350か所で交通規制などの対策をとる方針です。

一方で事故を防ぐためには、ハード面の整備だけでは十分ではないと専門家は話します。

■志堂寺和則教授
「いくらハードを良くしても利用するドライバーの方が意識を高めていかないと全く何の役にも立たない。『ここ交差点だな』と意識しやすくなったので、それに合わせて少しスピードを落とすなど運転行動も改善していくのが大事です。」

悲惨な事故から1年。
愛する人との突然の別れに見舞われた遺族が、訴えかけます。

■遺族
「ほんのちょっとの偶然で交通事故は誰でも起こし、巻き込まれるものと感じます。少しでもなくなればいいと思っています。」

福島中央テレビのニュース