【解説】「毛先が広がったら」歯ブラシ交換はもう古い? 虫歯・歯周病を予防するには? 自分に合った歯ブラシの選び方から「お口の健康」を考える
◇心臓病や脳梗塞リスク“高”
◇歯磨きの“起源”
◇歯ブラシの“寿命”は?
以上の3点について詳しくお伝えします。
「歯と口の健康週間」ですが、おおもとの活動が始まったのは、1928年(昭和3年)のことで、「虫歯予防デー」として始まりました。当時のポスターには、歯ブラシなどとともに川の水でうがいしている様子が描かれています。
実は、当時は虫歯で亡くなる子供が多く、「子供の3大疾患」の1つに虫歯が入っていました。
2013年からは、歯だけでなく口全体の健康を考えようと、「歯と口の健康週間」になりました。
虫歯と並んで注意が必要なのが、「歯周病」です。
日本臨床歯周病学会によると、歯周病菌は腫れた歯ぐきから血管内に侵入して、全身に回ります。そうなると、動脈硬化を促進させたり、心臓病や脳梗塞の発症リスクを高めたりします。また、妊娠している女性が歯周病にかかると、低体重児の出産や早産につながる可能性も専門家からは指摘されています。
そこで大切なのが歯磨きですが、みなさんそもそも“歯を磨く習慣”がどのように始まったのかご存じですか。“ある人物の一言”がきっかけだったそうです。
横浜にある「歯の博物館」によると、実は仏教の開祖・お釈迦(しゃか)さまが歯磨きの起源だそうです。“弟子たちの口があまりにも臭かったため”に歯の手入れをするよう、インドで勧めたのが始まりだったと言われています。
今回、特別に歴代の歯磨き道具をお借りしました。昔は、「歯木(しぼく)」と呼ばれる、小枝の先をかんで房状にして、歯を磨いていたそうです。6世紀ごろに仏教が日本に伝えられた際、歯木を使った歯磨きも一緒に伝わってきたそうです。
その後、江戸時代になって作られたのが、「房楊枝(ふさようじ)」と呼ばれるものです。すでに先端が柔らかくなっていて、房状の部分に歯磨き粉を付けて磨き、反対のとがった部分で歯と歯の間に挟まったものを取り除いたということです。さらに、歯を磨いた後には、柄の部分で舌の掃除もしていたということです。
この時代の浮世絵が残っていて、房楊枝を使った様子が描かれています。庶民の生活にも、歯磨きが次第に浸透していきました。
そして、今の形の歯ブラシの原型、「竹歯ブラシ」は明治時代に生まれました。文明開化と共に西洋から歯ブラシが輸入されて、それを日本でもまねて作られた国産のブラシです。
歯ブラシは木の枝から作ったもので始まりましたが、実は今、歯ブラシというのは、1万種類以上もあるそうです。
そこで、歯ブラシ専門店「メガデント」の酒向淳店長に、選ぶ時のポイントを聞きました。まずは大きさですが、歯ブラシを握って親指を立てた時に、ブラシまでが1センチくらい空くものがいいそうです。ブラシの大きさもいろいろありますが、ブラシがついた部分の長い面の幅が、親指の太さと同じくらいのものが自分の口にあっているということです。
では、歯ブラシは、どれくらいのタイミングで交換したらいいでしょうか。よく聞く「毛先が広がったら」という考えは、もう古いそうです。今は、1か月くらいで交換するのがいいとメーカーも推奨しています。それ以上たつと機能も落ちてきて、ブラシの根元に付着した菌が洗っても落ちにくくなり、朝に歯磨きしたときに付いた菌が、夜の歯磨きの時に“生きたまま口の中に戻る”ということも実験でわかっているそうです。
また、お口のケアグッズ、歯ブラシと歯磨き粉の2種類だと思いますが、これも少なすぎるそうです。ヨーロッパだと歯ブラシを数種類使い分けて、平均で6種類くらい使っているそうです。
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いずれにしましても、歯の健康というのは、体全体の健康にも直結しているということです。私も、きちんと歯科検診を受けなくてはと思っています。かかりつけの歯科医に定期的に相談し、歯の検診をサボらずに受けることが大事だと思います。
(2023年6月8日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)