ジャニーズ側“NGリスト”調査公表 「運営会社の独断」と再び強調 「虚偽の話が複数」声明に元Jr.橋田さん危惧語る
10日夜にジャニーズ事務所が、会見の際に存在した“指名NG記者リスト”をホームページで公開しましたが、その意図とは。
そして「虚偽の話をされているケースが複数ある」というジャニーズ事務所の9日の声明に対し、元ジャニーズJr.の橋田康さんが感じた不安とは-。
さらに、当事者の会の平本淳也代表が提出した告訴状が受理されました。平本さんは「ひぼう中傷はれっきとした犯罪行為であることを認識してもらうための告訴」と話しています。
◇
10日夜、ジャニーズ事務所がホームページを更新。今月2日の記者会見に持ち込まれた“指名NG記者リスト”について経緯を説明しました。始まりは、先月7日に行われた最初の会見だったといいます。
ジャニーズ事務所
「9月7日記者会見においては、 一部の記者が、司会者による指名を無視して会見会場で大声で質問をする、ヤジを飛ばす、不規則発言を繰り返す等の無秩序な言動を繰り返していた。ジャニーズ事務所としても、次回の会見においては、会見を秩序立って進行させ再発防止策等についての説明時間を十分に確保したいという意向であった」
2日前の打ち合わせでは、複数の参加者から「不規則発言を繰り返す記者、司会者の指示に従わない記者については、どのように対応するのか」との旨の質問があったといいます。
そこでコンサルティング会社が示したのが、記者の名前を記したリストです。そこには、指名候補記者リストとしてビジネス誌や新聞、テレビ、外国語プレスから2人ずつ選ばれていました。その下の「指名NG記者」には6人の名前が並んでいました。
しかし、これに井ノ原快彦さんが「NGって何ですか、当てないとだめですよ」といった旨を発言。
コンサル会社は「『NG』は『指名しない』という意味ではなく、あくまで『要注意』であり『発言順序を留意する必要がある』という意味である」という趣旨の説明があったといいます。
ジャニーズ事務所によると「『指名NG記者リスト』に記載されている記者も指名する」という指示が明示的になされていて、コンサルティング会社も了解していたといいます。
そして会見当日、会場で共有されたのが「座席表と指名候補記者と指名NG記者が顔写真入りでのったリスト」。これはジャニーズ事務所の了解を取らず、コンサル会社の担当者が独断で作成し共有したものだと説明しています。
ただ、実際の会見では、NGリストの記者も約5割が質問したと主張。その1人が「(被害者に対する補償額算出について)過去の判例が基準になるんでしょうか?」と質問した尾形記者です。
不規則発言での質問に対しても、ジャニーズ事務所側が「回答した」と主張しています。
ジャニーズ事務所が“写真ありのリスト”の存在を初めて知ったのは、会見翌日の深夜以降にマスコミから問い合わせを受けた際だった、と説明しています。
◇
「13歳のときにジャニー喜多川氏から性被害に遭った」と訴える橋田康さん。10日夜『news zero』の取材に語ったのはある“心配”でした。
元ジャニーズJr. 橋田康さん(38)
「ウソだったりとか実際に被害に遭っていないけど、もしかしたらもらえるかもとか、 救済してもらえるかも、助けてもらえるかも、補償してもらえるかもってなっちゃうと、本当にもう、しっちゃかめっちゃかっていうか」
危惧していたのは“被害に遭っていない人が、ウソをついて名乗り出ること”でした。
9日にジャニーズ事務所が公表した新たな声明のタイトルは「故ジャニー喜多川による性加害に関する一部報道と弊社からのお願いについて」。
ジャニーズ事務所ホームページより
「弊社は現在、被害者でない可能性が高い方々が、本当の被害者の方々の証言を使って虚偽の話をされているケースが複数あるという情報にも接しており、これから被害者救済のために使用しようと考えている資金が、 そうでない人たちに渡りかねないと非常に苦慮しております」
虚偽の話をしているケースが複数あるとの情報に接しているというのです。
ジャニーズ事務所ホームページより
「報道機関の皆様におかれましては、告発される方々のご主張内容についても十分な検証をして報道をして頂きますようお願い申し上げます」
橋田康さん
「結局そういうことしてしまうと、本当に被害に遭った人も『ウソでしょ』って『どうせまたウソでしょ』『どうせまたウソでしょ』となると思う。僕は5月ごろに告白して、言ってよかったかどうかなんて本当にわからないくらい、きついこといっぱいあったし。今もそうだけど、やっぱりきついんですよ、話すって。それをちゃんと伝えていくのは大変なことだと思うので。大変なことをしても『ウソだ』と言われてしまうのであれば『やっぱ言うのよそう』になっちゃうし」
橋田さんは「本当の被害者が、萎縮するようなことは避けてほしい」と訴えます。
橋田康さん
「本当につらかった人たちって、もちろん回数じゃないですし『これを我慢しないと』と、いっぱい我慢した人もいるかもしれない。今これ言ったら(ウソだと)疑われちゃうんじゃないかって思う部分というのは、そういう気持ちでいったときに、話したときに、怖い思いをしないようにだけしてほしいなと、事務所側に、そういう対応をしないようにだけ」
ジャニーズ事務所には「被害者が名乗り出にくい雰囲気を作らないようにしてほしい」と話しました。
◇
「ジャニーズ性加害問題当事者の会」代表の平本淳也さんが、インターネットでひぼう中傷を受けたとして10日、神奈川県警に告訴状を提出し、受理されました。
当事者の会 平本淳也代表(先月)
「インターネットによるひぼう中傷。一番ひどいのは『死ね』『生きる資格がない』『消えろ』。日常的に今でも毎日のように届きます。面白半分でやっているなら、すぐにやめていただきたい」
その数は少なくとも数万件にのぼり、平本さんは「ひぼう中傷はれっきとした犯罪行為であることを認識してもらうための告訴でもある」としています。
◇
一方、10日に経団連のトップが、これまでのジャニーズ事務所の対応について言及しました。
経団連 十倉雅和会長
「前進はしているんじゃないかなと思う。研さんを積まれているタレント方の活動を長期に奪うことは問題。やはり今回出されたような会社を分割してやるしかないと思います」
一定の評価をしたうえで、今の情報だけでは十分ではないと、賠償責任を果たすことや経営システムの構築などを求めました。一方で“厳しい指摘”も。
経団連 十倉雅和会長
「2004年に最高裁で(ジャニー氏の性加害は)事実認定されました。日本社会全体がマスメディアも企業も含めて、そういうことに真正面から向き合っていかなかったこと、これも社会全体で反省する必要があると思います」
(10月10日放送『news zero』より)