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【アダルトチルドレン】子どものころの虐待の傷は今も 向き合い続ける女性「子どものSOSに気づける大人になって」 佐賀

2024年3月6日 18:28
【アダルトチルドレン】子どものころの虐待の傷は今も 向き合い続ける女性「子どものSOSに気づける大人になって」 佐賀
子ども時代の虐待の苦しみが今も続く

子どものころに受けた「虐待」で刻みこまれた心の傷は、大人になっても残り続けます。父親からの虐待に苦しめられた佐賀県の女性は、生きづらさを抱えながらも、自助グループを設立するなど前に歩みだしています。

佐賀県に住む龍文恵さん(仮名)は、子どものころに受けた「虐待」のトラウマと今も向き合い続けています。

■龍文恵さん(仮名・54)
「1人で運転していると涙する時もある。全然知らないところに行きたいと思うこともある。」

父親からの虐待が始まったのは4歳の時でした。仕事がうまくいかないことがきっかけで、日常的に暴力を受けたのです。

■龍さん
「頭をたたかれる。食事をしている時に後頭部をバンとたたかれる。父の気に入らない言葉を発すると飛んできて、下半身を蹴られる。」

助けを求めた母親からも「あんたなんか産まなければよかった」と、突き放されました。

虐待が終わったのは中学3年生の時でした。勉強中に突然、父親から意識がなくなるほど殴られ続けましたが、見かねた母親が父親の暴力を止めてくれたのです。

しかし苦しみが消えることはありませんでした。

高校を卒業後、地元の玩具店に就職しましたが、周りの環境に上手くなじめませんでした。

■龍さん
「やっぱり人と話す時も何か自分に自信がなくて、自分の考えが出せないとか、物に当たったり暴言を吐いたり。愛情がなかったから愛情不足っていうのかな。」

職場では突然の過呼吸に襲われ、親に厳しく注意されている子どもを見ると、フラッシュバックもたびたび起こりました。

虐待の後遺症です。

■龍さん
「『自分は愛されていなかったんだ』と突きつけられたような感覚になって、一気に絶望に走ります。自分は虐待されたという。受け入れたら受け入れたで、いろんなものが思い出される。」

子どもの頃に虐待などを受け大人になっても生きづらさを抱える人たちを「アダルトチルドレン」と言います。

その回復のためには当事者を孤立させない支援が求められると専門家は話します。

■福岡県立大学 看護学部・四戸智昭 准教授
「自分はAC(アダルトチルドレン)ということを話ができると、仲間であったり、他人に聞いてもらえる場所があったらいい。」

同じ境遇の人たちと悩みを共有しようと、龍さんは9年前に自ら自助グループを立ち上げました。

佐賀県で初めての取り組みで、全国的にも当事者による支援団体はほとんどありません。

この日、龍さんの姿は佐賀市の大学にありました。

■龍さん
「先生は助けてくれるわけではないが、話を聞こうと思ってくれていた。」

龍さんの話を聞くのは教員を目指す学生たちです。「子どものSOSに気づける大人になってほしい」と学生の前に立ちました。

■話を聴いた学生
「自分も教育者になる上で、虐待を受ける子たちを見逃してはいけない。」

しかし、講演が終わると、龍さんは椅子の後ろに隠れて1人で泣いていました。

■龍さん
「学生さんたちから生まれてくる子どもはかわいがられる。愛してくれると思う。自分が愛してもらえなかったという感情が思いっきり出てくる。」

龍さんは、例え苦しかった幼少期でも、親に愛された思い出を想像することが回復に近づく道だと考えています。

■龍さん
「自分も赤ちゃんの時は母親から抱かれていた。完全に回復はならないと思うが、回復へ向かったら違う世界が見えるのかな。今は修行の道。」

大人になっても決して消えることはない虐待の傷、そんな傷を乗り越えた先の未来を信じて、龍さんは自らの苦しみと向き合い続けます。

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