【飲食店など8棟焼く】木造建物の密集地で相次ぐ火災 現場は「危険度が高い」対象地域ではなかった 北九州市
飲食店など8棟が焼けた火災から一夜明けた、北九州市八幡東区の現場から中継です。元木さん。
■元木寛人フィールドキャスター
現場は先ほど、規制線の位置が下がりました。建物の近くを見ますと、崩れ落ちてきて黒ずんだ壁や屋根、建物の中を見ますと、焼け落ちた木材が散乱しているのが分かります。
ここでは実は30年以上前にも、40メートルほどの場所で、大規模な火災が起きていました。33年前の1991年、今回とほぼ同じ場所で飲食店など25軒、641平方メートルを焼く火事がありました。
先ほど、当時からここで飲食店をしていた人にお話を聞いたところ、その時は「天ぷら油が原因で一気に燃え広がった」と話していました。
その火災の後、お店の方がすれ違うと「お互い気をつけようね」と話をしていたそうです。
ただ、店主の入れ替わりも多い地域だったこともあり、当時は「店主同士が集まって何か対策をするなどはしていなかった」と話していました。
■スタジオ
北九州市では、ここ数年、商店街などで火災が相次いでいます。おととしの4月と8月には小倉北区の旦過市場一帯で、10月には八幡東区の枝光本町商店街で、さらにことしは、小倉北区の鳥町食道街でも火災が発生しました。
これらはいずれも、古い木造の建物密集地です。
再び火災が起こらないように被災者や北九州市は、対策を模索しています。
今回、火事が起きた飲食店街と同じ、北九州市八幡東区にある枝光本町商店街です。
■枝光本町商店街連合会・黒木伸広会長
「火元がまだ修復してないところなのですが、ここから火が出て、表までいった。」
■撮影した人(2022年10月)
「ヤバイ、ヤバイ、これはヤバイ。誰かおらんの。みんな逃げよる?ちゃんと。」
2022年10月、店舗が密集する商店街の一角から出火し、9軒が焼けました。
火災の後に徹底したのが、およそ20ある店すべてに消火器を設置することです。
■きやま精肉本店・瀧山浩文さん
「ここに消火器。火消しスプレー。もし火がばっと上がったときのために。神経使っていると思います。あの火事のトラウマがあるので。」
店舗だけではなく、アーケードや共有部分にも新たに5台の消火器を設置しました。
さらに、商店街の関係者だけではなく、買い物客や近隣住民も参加する合同の防火訓練も実施しました。
■黒木会長
「1年間に2回くらい消防署の人が来て、一軒一軒、住んでないところも外からですがチェックして回ってもらっています。」
北九州市も対策に乗り出しています。密集地にある木造の飲食店に簡易型の自動消火装置を設置するための費用として、新年度予算案に900万円を盛り込みました。
■北九州市・武内市長
「(火災が)立て続くことで、そういうイメージが重なってはならないというふうに思います。市民や事業者の防火意識、防火対策が大前提になってくるので、私どももハード・ソフト両面でしっかりとサポートできるようにやっていきたい。」
北九州市が『火災の危険度が高い』と判断した密集地のおよそ170店舗が対象で、自動消火装置の設置を希望する人に費用の9割を補助する方針です。
ただ、5日に火事が発生した地域は対象外で、密集地での防火対策に改めて課題を残しました。