新年彩る“縁起物”の準備が早くも最盛期 障害福祉施設で一つ一つ手作り 福岡
早くも新年を迎える準備が最盛期を迎えています。2024年の干支は辰です。福岡県古賀市の障害福祉サービス施設で作られる縁起物が、毎年人気を博しています。
つぶらな瞳でこちらを見つめるのは、来年の干支・辰です。一体一体手作りで、体の色も表情も違う個性あふれる置物です。
置物を作っている福岡県古賀市の障害福祉サービス施設『なのみ工芸』は、働くことに障害のある人が、サポートを受けながら仕事や日中の活動をする施設です。
施設の利用者約40人が、ことし5月から少しずつ準備を始めて、置物作りは今が最盛期です。それぞれに得意なことを生かし、年末に向けて約700体の制作を目指しています。
■吉村史織 アナウンサー
「こちらの辰の置物、布製でとてもぬくもりがあってかわいいです。よく顔を見てみると、いろんな色が使われていて、1枚でもカラフルな布で独特。」
■『なのみ工芸』支援員・一木郁子さん
「こちらは『なのみ工芸』に通われている利用者の仲間たちが一つ一つ織った、『さをり織り』という反物を使って作っている辰。」
生地に使われている『さをり織り』は、約50年前に大阪で生まれた手織りの一つです。糸の色やデザインに決まりはなく、織る人の発想で多彩な柄になるのが特徴で、自由に織物を楽しむことができます。
5年以上前から布作りを担当している江熊康正さん(62)は、意外なものから色の組み合わせのヒントを得ているといいます。
■江熊康正さん(62)
「色はいろんな刑事ドラマのまねをして、 いろいろやってるんです。 『太陽にほえろ!』とかよく見ているので、そのネクタイやカッターシャツとか(を参考に)。」
手先が器用な深川光子さん(50)は、置物の“大事な部分”の縫製を任されています。
■深川光子さん(50)
「頭を作っています。頭っていうのはこれですけど。針を使うところがすごく難しいなと。針なので刺さっちゃうので、気をつけて編んでいます。」
完成した置き物には製作者の顔写真が入ったメッセージカードも付けられ、施設と地域をつなぐ役割も担っているといいます。
干支の置物作りは1991年から始まり、ことしで33年目です。季節の風物詩として毎年楽しみにしている人も多く、利用者たちの働きがいにもつながっています。
■支援員・一木さん
「(地域の人と)毎年『今度は何年だね』って言いながら進めていますので。辰年が発展するように、 前向きになるように、祈りを込めながら飾っていただけたら。」
干支の置物は、『なのみ工芸』などで1つ2200円で販売され、売り上げの一部は製作者の収入になります。開運の願いが込められた個性豊かな辰たちが、新年を彩ってくれそうです。